指名:バク@精神科医 先生

家族が服薬をしていない

10代女性

娘(大学休学中)がメンタルクリニックに通院しているのですが1ヶ月程前から服薬していないようなのです。
言って娘を追い詰める事になってもと思って黙っています。

今年に入ってうつが酷くなっていき5月に1ヶ月半入院(任意)しています。その当時はかなり混乱が強く希死念慮も強い状態でした。
本人の強い要望で退院させましたが医師はもう少し入院させたかったようです。
入院した先の医師はアクセルを踏み続けている状態なのでブレーキをかける薬を出したと言っていました。
かかりつけの病院に入院設備がなかったので紹介で入院した為、入院の時の主治医と今の主治医は違います。

今、見る限りではうつ状態もほとんどなく、ダラダラといい感じで休んでいるように見えます。友達とときどき会ったり大型ショッピングセンターのフードコートのバイトも1ヶ月程前から始めて、その頃から薬を飲まなくなったと思います。
自己判断で薬をやめてはいけないとよくききますが、様子を見ているとこのまま服薬しなくてもと思うところもあります。
バク先生のご意見を聞けたらと思っています。

回答済み

精神科

指名でのご質問ありがとうございます。 病名の記載はありませんが、内服中のお薬の情報助かります。 さて、任意入院からの退院後の話ですが、「主治医はもっと入院させたかったようだ」と言う内容です。これは患者さんの症状が「本人の同意を必要とせず入院させることが出来る医療保護入院」にせねば、心身の安全を保護できないと言うレベルでは悪くはなかったと推察されます。 主な症状は「死にたい気持ち(希死念慮)」「うつ」との記載ですが、今は「ブレーキをかける必要がある」との主治医の話から、まず、一旦の診断名は「双極性障害(躁うつ病)」としてお話をさせて頂きます。 双極性障害は躁病相(元気で楽しい時期)とうつ病相(悲しく死にたい位辛い時期)を数ヶ月から年単位で気分がアップダウンする病気です。 内服治療は基本的に ・躁の気分の高さを普通にする ・うつの気分の低さを普通にする と言う治療を行います。 しかし上記の通り数ヶ月から年単位で気分が勝手に内服なしでも上がったり下がったりするので、下がった後(ご入院時をうつ病相として仮定します)数ヶ月すれば自然に躁病相への以降が起こります。 このため内服しなくても良いのでは無いか?という状態はしばしば起こりますが、この病気は必ず「上がりすぎたら、その上がり分が高ければ高いほど、落ちる深さが深い」と言う流れとなりやすいです。 なので主治医の先生は「ブレーキをかける」と言う表現で、躁病相に気分が上がることにブレーキをかける=予防する治療をされたかったのかも知れません。 今うつっぽくない場合、上記の通り逆に躁病相への以降が起こっている可能性があることは気にしておかなくてはならないと思います。 さて、ここまで私は双極性障害として話を進めてきました。 しかしレキサルティと言う薬からはもう1つ別の病気の話もせねばならないと思います。 それは統合失調症です。 統合失調症は脳の様々な神経伝達物質が過剰に出てしまう病気だと思って下さい。 そしてレキサルティはその過剰に出ている薬を正常値になるようにコントロールするお薬です。 統合失調症は100人に1人が発症されるかなりメジャーな病気です。そして今の新薬ならばほぼ内服していれば一生統合失調症の症状でそこまで困らなくて済むことが多いです。(これは前述の双極性障害も同じです) もしも娘さんが薬を辞めたい場合は、主治医の先生にちゃんと理由(「もうしんどくない」「飲んでるとダルくなる」「元気になったのに飲み続ける意味なんて無くない?って思う」等なんでも正直に)を説明し、一度ちゃんと終診とされることをオススメされてはどうでしょうか。 そして又死にたい位辛くなったらまた来ます、と主治医に言えれば満点だと思います。 このケースの場合ご家族も「薬は不要ではないか?」と思われる程今は落ち着かれているようです。 人は時々一瞬だけ凄く激しい症状を呈し、その後1度も症状の再発なく一生を寿命で終える方も居られます。 主治医からは内服していないにせよ、様子だけ見たいから通院だけは2ヶ月に一度でもして欲しいと言われる場合もあります。 それは1度は大変酷い病状(やはり死にたい程の気持ちの落ち込みは相当な辛さです)になられた患者さんが、内服せずに数ヶ月安定されていることを見守ると言うことも治療において必要な行為だからです。 なので、薬は飲んでないけれども、今の状態を伝える診察を提案して下さる先生の場合、患者さんのことを最後まで責任をもって見たいと思われている良い先生だと思います。 結論です。 ・病名不明のため内服の継続の必要性がこのケースの場合判断できません ・まずは薬を辞めていることを正直に主治医に伝え、主治医と今後の方針を決めて下さい ・ご家族もご心配だとは思いますが、私も可能性を可能な限り列挙するしかなく、中には病名を見てご不快に思われる説明内容もあったかと思います。しかしこれが文字のみの医療相談の限界かと思われます。申し訳ありません。 以上となります。 不足分等ありましたら、又ご相談下さい。 皆様が納得出来、幸せな日常を送られることを心より祈っております。

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2021年11月11日 12時42分


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