指名:おとらりんたろう, MD, PhD 先生

浄水器を通した鼻うがいについて

30代女性

コロナが流行りだした頃から鼻うがいをしています。かれこれ3年ほど毎日です。水道の浄水器(INAXの浄水カートリッジ)から出した水とポットで沸かしたお湯を混ぜて、塩やサイナスリンスの粉を使って鼻うがいをしていました。
最近、アメーバの感染や数年かけて副鼻腔炎になる可能性があると色々なサイトに載っておりとても心配しています。こどもにも同様のやり方で鼻うがいをさせたこともあり、ちゃんと調べれば良かったと非常に後悔しています。
日本の水は安全だといいますが、本当のところどうなのでしょうか。今までの方法が間違っていれば、これからの生活で気をつけないといけない症状などはあるのでしょうか。教えていただけるとうれしいです。

回答済み

耳鼻咽喉科

ご質問ありがとうございます。コロナウイルス感染症予防のため毎日鼻洗浄をしているが、アメーバ脳炎や副鼻腔炎の発症について懸念されている、ということですね。私の意見としては、鼻洗浄は症状を改善する目的であれば推奨するのですが、感染予防としてはあまり推奨できず、少しやり方を見直していただく方が良いのではないか考えます。


まず、鼻洗浄が感染予防効果があるかどうかについてですが、これについては明確に立証されている報告はありません。鼻洗浄自体については様々な研究がなされていますが、主としてアレルギー性鼻炎や急性副鼻腔炎・慢性副鼻腔炎に対して、アレルゲン、鼻汁、病原体を洗い流すことによって安全に症状を改善するという内容のものになります。

喉のうがいはどうなのだ、と思われるかもしれません。鼻腔と喉では「常日頃から食べ物・飲み物などに触れることが多いかどうか」という点で大きな違いがあります。鼻の粘膜は通常異物が通る場所ではなく、外的刺激に対して強い場所ではありません。もともと鼻の粘膜には自浄作用があるのですが、このような場所に外的刺激を与え続けると、自浄作用を弱めることがあります。

もう一つ、常在菌についても懸念があります。鼻腔・咽頭粘膜には常在菌が多数住み着いています。この常在菌は多くがいわゆる善玉菌で、粘膜に外界から病原体が付着することを予防する効果もあります。洗浄を続けるとこの常在菌を洗い流してしまい、逆に抵抗力が下がることもあります。口からのうがいも1日3〜4回までにしておいた方が良いと言われているのはこれが理由です。

上記の理由から、鼻洗浄はあくまでアレルギーで鼻水が出たり、感染があるような症状が出たときに限っていただくことをまずはおすすめいたします。


次にアメーバ脳炎や慢性副鼻腔炎のリスクについてお話します。ご指摘の通りアメリカでは年に数例鼻洗浄によるアメーバ脳炎の報告があります。これはアメリカの浄水システムの問題と、各家庭への配管の問題、さらにNeti potという鼻の洗浄器具を乾燥させずに使用したことが問題と考えられています。

日本では現在のところ鼻洗浄によるアメーバ脳炎の報告はありません。日本では浄水の過程で塩素を用いた消毒をしているのがその理由です。ただし、長期間使用していない配管からはアメーバが検出されたという報告もありますので、長期間使用していない水道管からの水道水をそのまま鼻洗浄に用いるのはやめたほうが良さそうです。

念を入れるのであれば、沸騰した水道水を冷ますことで安全に洗浄できるでしょう。

また、鼻洗浄が副鼻腔炎の発症に関わるという点ですが、たしかに日本語の記述でそのような書き方をしている記事はあるものの出典が示されていませんでした。私自身も論文を検索しましたが、鼻洗浄が副鼻腔炎の発症に関わるとするような報告は見つけられませんでした。こちらはあまり気にしなくても良さそうです。


少し長くなりましたが、まとめます。

・鼻洗浄はアレルギーや鼻炎・副鼻腔炎の症状を安全に緩和させる効果がある

・鼻洗浄に明確な感染予防効果は示されておらず、日常から継続的に行うのは必ずしも推奨できない

・日本の水道水でアメーバ脳炎にかかるリスクは非常に低いが、気になるなら沸騰した水を冷ましてつかう


以上回答させていただきます。コロナの蔓延でとても不安な気持ちから始められた行動だと思います。コロナウイルス感染症から最も効果的に身を守るためには、ワクチン接種、手洗い、3密を避けるといった効果が立証されているものをまずはしっかり行っていきましょう。

また何かありましたらご相談いただけますと幸いです。

丁寧な回答ありがとうございます。よく理解できました。アメーバや副鼻腔炎については、あまり考えすぎずにいきたいと思います。毎日鼻うがいをしていたのを見直したいと思います。

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2023年04月07日 15時56分


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耳鼻咽喉科専門医•指導医の音良林太郎@耳鼻咽喉科です。みみ、はな、のどの病気や、首の腫瘍など、気になることはなんでもご相談下さい。専門は耳科、聴覚ですが、めまい、鼻、頭頸部腫瘍、甲状腺なども扱います。
なるべく丁寧に、かつ医学的な根拠とともに解説することをモットーとしています。どうぞお気軽にご相談ください!

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