指名：相川晴（HAL） 先生

妊娠前の麻疹予防接種について

30代女性

はじめまして。
現在31歳、2歳の息子がいます。
居住地は岡山です。
現在、第二子の妊活を考えていますが、麻疹の予防接種について相談させてください。

息子を出産し、育休を2年取りました。育休中に１年間妊活•不妊治療も少し通いましたが授からず、職場復帰して約半年です。
上の子の保育園の兼ね合いもあり職場復帰後は妊活をお休みしていて、今月から！と思っていたタイミングで麻疹の感染のニュースを見ました。

現在、麻疹風疹の抗体値の検査を受けて、結果待ちです。
第一子の時には風疹の抗体はありました。1992年産まれなので1回接種の年代です。

もし、風疹の抗体があり麻疹の抗体がない場合には麻疹の予防接種をして、3ヶ月間を空けて妊活を開始した方がよいでしょうか？
(もし風疹の抗体がなければMRワクチンを接種するつもりです)
上の子の保育園の兼ね合いでここ数ヶ月の期間で妊娠できたら…！と思っていたのでこれから3ヶ月程度妊活が出来ないと思うともどかしさを感じています。

麻疹の感染者はいないので様子を見た方がいいか…それとも居住地でも麻疹感染者が出る可能性も考えて早めに麻疹接種をしてしまった方がいのか…と悩んでいます。
また、麻疹は妊娠中にかかると胎児への影響はどうでしょうか？

麻疹の予防接種をすべきか、また万一麻疹にかかった時の胎児への影響についてご教授いただければ幸いです。
よろしくお願いします。

(第一子の離乳食は先生の補完食の本を読んで進めました！ありがとうございました！)

回答済み

一般内科

user_icon相川晴（HAL）先生

ご質問ありがとうございます。


1992年の生まれでMRワクチンは1回接種の世代、現在風疹麻疹の抗体検査待ち。風疹の抗体はおそらくあるが、麻疹はわからない。妊活中で、今ワクチンを接種すべきか、もしかかった時はどんな胎児への影響があるか？　というご質問ですね。


これはなかなか難しい問題になります。

先に妊娠中に感染した時のリスクとしては

  • 流早産の確率が高い
  • 妊婦自身が重症化しやすい
  • 新生児に感染を起こすことがある

ということがあげられます。どのくらいかという率などはあまり文献がなかったんですが、海外の報告ですと、58例の妊娠中に麻疹にかかった妊婦さんを調査したところ、60%が入院（15例は合併症による肺炎のため入院、2例は合併症のため死亡）。3例の人工妊娠中絶を除くと、31%（18例）が流早産（5例が自然流産、13例が早産）。2例の乳児は軽微な先天異常（母親は妊娠後期での麻疹）。

以前書いた記事ですが、よかったらこちらもご覧ください。

https://halproject.blogspot.com/2016/09/blog-post_5.html


ということで、妊娠中に麻疹に感染すると、赤ちゃんもなんですが母体も大変なことになるので、可能な限り感染は避けてほしい……！　と思うところです。


さて、そうすると麻疹のワクチンが必要になるのですが……そうなんですよね、生ワクチンは、理論上、ウイルスが胎児に移行する可能性がありますので、MRワクチン接種後2ヶ月の避妊期間が必要になります。おそらく3ヶ月というのは、妊娠していないのを確認するのに1ヶ月+接種後の避妊期間2ヶ月という意味と思います。

ただ、気づかず妊娠中にMRワクチンを接種してしまったり、2ヶ月あけずに妊娠してしまった場合でも胎児に与えるリスクは極めて低いと考えられるので、妊娠を中断する必要はありません。

が、もし妊娠中・産後になにかあった時に「もしかしてあの時ワクチン接種後避妊期間あけなかったから……」というように（実際は関係なかったとしても）いろいろ考えてしまうことがあると思いますので、そういった心配をなくすためにも、やはり避妊期間はちゃんととってほしいところです。


問題はいま接種するかどうかです。

今後流行するかどうかは正直わかりません。幸い、はっきりと麻疹患者さんがわかっているのは1人→3人の合計4人。ただ、高い接種率でも感染力が桁違いなので、はやる時にははやるのが麻疹です。（今の接種率では流行を抑えるのには足りていない）しかも潜伏期間が長いので、次の患者さんが出ないかしばらく様子を見る必要があります。

流行しないのにかけてもよいと思います。ただ、もし流行した時に、また、今回の件はそのままおさまったとしても、今後また新たに患者さんが出た時（海外からの持ち込みは今後増えると思います）に、ハラハラしないかどうか……というところですね。

私としては、結果がわかったらもう急いで接種してしまって、可能な限り避妊期間を前倒し（？）にした方が、安心して妊活に取り組めるんじゃないかなと思いますが、これはもう考え方の問題になります。


私の場合、流産後に避妊3ヶ月してから風疹の抗体価が低いことがわかり、そこからワクチン接種＆避妊期間2ヶ月で合計5ヶ月避妊が必要となりかなりヤキモキした記憶があります。ただ、そのおかげで妊娠中に風疹が流行してもあまりドキドキせずに済んでよかったなあと振り返って思うところです（長女の時も次女の時も風疹が流行した）。


ということで、はっきりとした答えは出せないのですが、なにか少しでも参考になれば幸いです。

（補完食の本も読んでくださってありがとうございましたー！）


参考

http://www.jaog.or.jp/wp/wp-content/uploads/2018/05/180508measles.pdf

http://www.wakutin.or.jp/medical/pdf/qa_2022.pdf#page=178

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2023年05月22日 16時44分

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相川晴（HAL）先生

一般内科, その他

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