相談詳細

指名:こどアレ@小児科&アレルギー 先生

BCGワクチン未接種

10歳未満男性

来月で3歳になる息子はアメリカで出生しこの春までアメリカに住んでいました。
そのためBCGワクチンを打っておりません。
今からでもBCGワクチンを打った方がいいのでしょうか?
メリットが大きいのであればワクチンを打ってもらいたいと思いますが、注射の痕を掻きむしったり化膿したりしないかも心配です。
市へ確認したら小児科へ聞くよう言われ、小児科へ確認したら市へ聞くように言われ…どちらからも回答が得られませんでした。
ワクチンを打つことになるなら自費になることは承知しております。
アドバイスいただけるとありがたいです。
よろしくお願い致します。

回答済み

小児科

ご指名でのご相談ありがとうございます。もうすぐ3歳のお子さん、「アメリカに住んでいたためBCGワクチン未接種、今からでも接種した方が良いか?(市でも小児科でも回答が得られなかった)」というご質問でした。

我が国の結核の状況については、厚生労働省の「2021年結核登録者情報調査年報集計結果」によると、「2021年の結核罹患率は9.2であり、前年と比べ0.9減少し、結核低まん延国となった」と書かれております。ただ、実は低まん延国は10以下でぎりぎりであり、欧米諸国より高く、実際、「毎年新たに1万人以上の患者が発生しており、約2千人が命を落としています。2021年は11519人が結核患者として登録」されております。幸い、小児患者さんはBCGワクチンの接種により少なくなっております。

また、結核に感染した場合、一般的には、1歳未満が特に重症化のリスクが高く、3歳以下では重症化のリスクが高めと言われております。ただ、2歳以降だと、発病も粟粒結核や結核性髄膜炎の発生も少なくなるというデータもありますので(https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/kansen/kekkaku/syorei.files/20220109tokunaga.pdf)、3-4歳以降のお子さんであれば、BCGワクチンを接種されなくとも良いと仰る先生もいらっしゃるようです。

3歳のお子さんに対するBCGワクチンの安全性としては、厚生労働省の「結核とBCGワクチンに関するQ&A」を参考にすると、「BCGワクチンの接種は、平成17年までは4歳未満の児童を対象に行われていましたが、世界保健機関(WHO)の勧告等を受け、乳幼児の結核予防効果を高めることを目的として、平成17年に生後6ヵ月までの接種に対象が変更」されたようで、もともと4歳までのお子さんに接種しており、乳児での予防効果を上げるための接種時期の変更であり、副作用が多くて変更になったという訳でもありません。実際、乳児に比べて、1歳以降では、骨髄炎や腋窩リンパ節の腫脹の発生も多くはありません。また、今でも「BCGワクチンの接種は生後1歳までに行うこととされていますが、この期間に、長期に渡る入院を余儀なくされた等の理由により、接種をすることができない場合もあります。このような特別の事情があることにより予防接種を受けることができなかったと認められた場合は、4歳に至るまで」接種可能とされており、やはり、3歳のお子さんの接種自体について、特に問題無いかと思われます。もちろん、過去に結核の感染歴があれば大きく腫れたりしてしまいます。

個人的には、日本では決して結核の感染リスクが低いとは思えず、3歳さんであれば接種した方が良いであろうとは考えますが、任意接種であること、痛いこと、などもありますので、ご家族やかかりつけの先生のご意見も参考にされて、接種されるか決められると良いかと思います。

データ付きで丁寧に説明してくださり本当にありがとうございました。ワクチン受けることにしました!質問してよかったです。

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2023年05月23日 14時39分


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