膠原病と予防接種について
10代女性
皮膚筋炎で病院に通院している高校生です。
膠原病患者の予防接種について質問させて下さい。
現在、未接種のHPVワクチンを接種しようと考えています。
主治医に確認もし、打っても良いとのことでした。
しかし、以前に新型コロナワクチンを打った際は、皮膚症状が悪化したことがあり、接種を迷っています。
インフルエンザワクチンの際は特に反応はありませんでした。
膠原病患者の予防接種の反応について、普通の人より副反応がでやすいのかなど、教えて頂きたいです。
よろしくお願いします。
回答済み
返信が遅くなって誠に申し訳ございません。
現在は皮膚症状がメインの皮膚筋炎(10代でいらっしゃるとのこと、いわゆる「若年性皮膚筋炎」でしょうか)でご通院中とのことですね。
新型コロナウイルスに対するワクチンは(本邦では)mRNAワクチンで、一方シルガード9は不活化ワクチン(インフルエンザワクチンも不活化ワクチンです)ので、効果が出現する仕組みが異なります。
https://www.wakuchin.net/about/type.html
以下しばらく、一般論でお話しします。
小児皮膚筋炎患者に対するヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの接種は、一般的な副反応のリスクがあるものの、JDMの病態進行や再発には関連していないとされています〔リンク先は英語です〕
https://ped-rheum.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12969-020-00479-w
https://www.institut-myologie.org/en/2020/12/29/a-prospective-real-life-study-confirms-safety-and-efficacy-of-quadrivalent-hpv-vaccine-in-young-patients-with-juvenile-dermatomyositis/
また、HPVワクチンが全身性エリテマトーデス(SLE)やその他の全身性自己免疫疾患の発症リスクを増加させないことも示されています。
https://ard.bmj.com/content/79/1/39 (欧州リウマチ学会の推奨)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6381660/
日本では、12歳から16歳の女子へのHPVワクチン接種が推奨されており、9価HPVワクチン(シルガード9)は子宮頸がんおよび前がん病変の両方に対して約90%の保護効果を提供すると推定されています。
https://www.science.org/content/article/japan-relaunches-its-hpv-vaccination-drive-thousands-women-it-may-be-too-late
(一般論ここまで)
さて、自分が外来で(若年性皮膚筋炎を含めた)自己免疫疾患の患者さんにワクチン接種をお勧めするときには、上記のような一般論、すなわち「一般的に言って、ワクチン接種のメリットはデメリットを上回る」ことに加えて、その患者さんの過去の病歴、その病気がいちばん重症のときにどのような治療を要したか、などを勘案してコメントしております。
ただ、その結果としてワクチン接種を行わないという結論になることは非常に稀(ゼロではないにしても)です。外来主治医の先生もそれを踏まえてGOサインを出しておられるものと想像します。
ご参考になれば幸いです。
追記: 米国リウマチ学会が「膠原病・リウマチ性疾患を有する患者さんへのワクチン」の推奨を2022年に出していますが、今回のご質問とは直接関係ない内容でしたので省略しました。以下からアクセス可能です。
https://rheumatology.org/vaccinations-guideline
欧州リウマチ学会の推奨は上にも出ていますが、こちらです。
https://ard.bmj.com/content/79/1/39
2023年06月19日 11時33分