指名:おとらりんたろう, MD, PhD 先生

中耳炎について

10歳未満女性

幼児の中耳炎は、放っておくとどうなりますか?

風邪を引くと、よく中耳炎になります。
当時1歳だった娘がしきりに耳を気にしていた(触っていた)のが気になり耳鼻科受診、そこで初めて中耳炎の診断を受け、「いやいやこれは中耳炎と気づくの難しいな…」と毎回思っています。
それ以来、風邪をひけば耳鼻科も受診し耳をチェックしていただくのですが、私が気付けず中耳炎が悪化していたら…と思うと怖いです。
中耳炎が悪化すれば、どのような症状が現れるのでしょうか。
また、なりやすい、なりにくい、は体質や遺伝もあるのでしょうか。
こんな質問で申し訳ありませんが、教えていただけたらありがたいです。

回答済み

耳鼻咽喉科

指名質問ありがとうございます。中耳炎に気づかず放置してしまった場合、何か困ることは起こらないか?というご質問ですね。結論から申し上げますと、体質で繰り返しやすい方は確かにいらっしゃいます。気づくのは難しいことも多いですが、風邪のたびに耳鼻科で診察を受けていれば大きな問題が起こる可能性は低いと考えます。


まず、お子様で生じやすい中耳炎には急性中耳炎と滲出性中耳炎の2つがあります。急性中耳炎は風邪の細菌やウイルスが中耳にまわり炎症を起こすもので、熱や耳の痛み、耳だれを生じます。感染・炎症が落ち着いたあとに滲出液が貯留して長引く中耳炎を滲出性中耳炎と言います。また、アレルギー性鼻炎が関係していることもあり、この場合はアレルギーへの対応が有効です。滲出性中耳炎では症状が乏しく、気づかれずに時間がたってしまうこともありえます


滲出性中耳炎の症状は耳閉感、難聴です。液体が溜まっている量や鼓膜の状態に酔って聴力は異なり、軽症では自覚症状がほとんど起こらないこともありえます。自覚的・他覚的には、

・片側の耳をよく触る

・呼びかけに反応が鈍い

・聞き間違いが多い

といった症状が出現する可能性があります。ただ、実際は診察で耳の中を覗かなければ診断は難しいですし、ぱっと見ただけでは診断が難しいこともあり、検査が必要な場合もあります。やはり疑ったら耳鼻科を受診していただければと思います。


もし小児患者さんで滲出性中耳炎と気づかずに長期間放置された場合、最も問題となり得るのは難聴による言語発達遅延=言葉の遅れです。つまり、聞こえがほとんど問題ないような軽症であればたとえ見逃していても大きな問題が残る可能性は低いでしょう。ただし、中耳炎が長引いた場合、中耳周囲の骨の発育が阻害される可能性があるとされています。骨の発育不良により、おとなになってから難治性の中耳炎を繰り返すことがあると言われているため、中耳炎と診断されたならばしっかり治るまで通院することが重要です。


遺伝・体質ですが、明確な医学的証拠はありませんが、家族性に発生しやすいということが知られています。両親とも中耳炎を繰り返した、というようなことがわかっているのであれば少し注意していただいたほうが良いでしょう。小児滲出性中耳炎は9歳以降で発症率が低下することが知られています。それまでは少し注意してみていただければと思います。


まとめますと、滲出性中耳炎を症状からだけで見つけるのは難しいことも多いですので、もしかしてと思ったら耳鼻科を受診していただければと思います。風邪がきっかけで発症する事が多いですので、風邪のたびに耳を観察していれば、見逃す可能性は低いでしょう。体質的に起こしやすい方は実際にいらっしゃいます。この回答がお役に立てば嬉しいです。

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2023年06月28日 10時03分


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耳鼻咽喉科専門医•指導医の音良林太郎@耳鼻咽喉科です。みみ、はな、のどの病気や、首の腫瘍など、気になることはなんでもご相談下さい。専門は耳科、聴覚ですが、めまい、鼻、頭頸部腫瘍、甲状腺なども扱います。
なるべく丁寧に、かつ医学的な根拠とともに解説することをモットーとしています。どうぞお気軽にご相談ください!

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