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相談詳細

指名:相川晴(HAL) 先生

乳幼児へのコロナワクチン接種を支持するエビデンスについて

10歳未満女性

いつもTwitter・ブログなど拝見しております。 

生後9ヶ月になる娘がおりますが、まだコロナワクチンを接種しておりません。
母親である私は万一コロナに感染した場合の後遺症等が恐ろしく、できれば接種させたいと考えていますが、夫は乳幼児に対する接種に反対しており、家庭での合意が得られず今に至っています。

夫の意見は、ワクチン後遺症やワクチン由来かどうかが明確でない乳幼児の死亡の報道などを見聞きし、作られてからまだ日の浅いワクチンを幼い我が子に打たせる決断はできないというものです。打った後未来でワクチンが子供の体にどう影響してくるのかがわからないのに…と不安視しています。

かかりつけの小児科でワクチン接種について相談してみたところ、積極的に勧めることはしないスタンスの説明を受けました。主にはコロナウイルスが変異を続けているので今のワクチンの有効性がどこまであるのかがわからないこと、8月で乳幼児の接種が打ち切られる(予定)であることなどを伺い、それも接種をしていない一つの理由になっています。

夫も私もワクチンは4階接種済み、お出かけなどは旅行などへはまだ行く予定はないものの、近場の児童館や祖父母宅へ出かけるために公共こうつうきかんを利用することがあります。幸にして、まだ家庭の誰もコロナに感染せず、今に至っていますが、今後どうなるかはわからず、モヤモヤと心配が募ってきています。
小児科学会のホームページに再度接種要請の記事があがったこともあり、娘を守るためにどうすれば…と悩む日々です。

乳幼児のワクチン接種への反対意見に対して、どのように説得をすればよいのでしょうか。また、接種をしない場合は、どのような生活スタイルを心がければよいのでしょうか。
ワクチンを打ったことで何か起きたら…という不安がないかと言われれば嘘になります。夫が言うことも理解はでき、彼も娘を守るために考えてくれているので、家庭として合意形成を図りたいのです。まだ小さい我が子を守るために、私に何ができるでしょうか。

乱文になってしまい申し訳ないです。答えが出る話でもないのかもしれませんが、先生のお考えを聞いてみたくご質問させていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。

回答済み

小児科

ご質問ありがとうございます。


乳幼児へのコロナワクチン接種について、ご家族で意見がわかれている。どのように話し合うのがよいか、私の考えを聞きたい、といったご相談ですね。


返信が大変遅くなり、申し訳ありません。すごくすごく悩む質問だったのでなんと回答するかずっと悩んでおりました。

おっしゃる通り、答えは出ないと思うのですが、小児科学会の提言も見ながら、少し私の考えを書いてみようと思います。


まず、ワクチンについて不安であるのは当然のことと思います。

どんな薬もそうなのですが、100%安全な薬というものはあり得ません。ただ、特に乳幼児のワクチンに関しては副反応が成人等と比較して、全体的にかなり軽いです。発熱などの頻度も低いですが、重篤な副反応の頻度も低いです。(こちらで解説しているのでよかったらご覧ください)

https://twicure.com/questions/534

ただ、成人の副反応も見ますと、心筋炎の可能性は決してゼロではないと思っていますし、接種人数が増えれば起こってもおかしくないですし、死亡例も出てくると私は考えています。

おそらく夫さんが見たのはこちらの4月28日に審議されたものではないかと思います。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_hukuhannou-utagai-houkoku.html

資料から引用しますと、

"なお、2023年3月13日から4月27日までに乳幼児(6ヶ月-4歳用)ワクチン接種後の死亡として報告された事例が1件あった。基礎疾患として、 Pierson(ピアソン)症候群(先天性ネフローゼ症候群等)があり、腎不全により生後約2ヶ月以降は腹膜透析をされていた事例であり、死因について 記載された明らかな疾患はなかった。専門家による評価はγであった。"(γは「因果関係が評価できない」です)

とあります。

もう少し詳しく書かれた資料もありますが、確かにワクチン接種後ではあるのですが、接種前の状態はあまりよくなく、ワクチンが原因かと言われると……(だからこそ、専門家会議でも「因果関係が評価できない」なのでしょうけれども)

https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/001091375.pdf

これに対して、日本でも新型コロナウイルス感染後に脳炎や心筋炎を起こし、後遺症を残したり死亡したりしたお子さんが決して多くはないですがいらっしゃいます。

http://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=507

厚労省が出しているデータを見ました。5類になる前までのデータになりますが、こちらによると、10歳未満のお子さんの感染者数は4,041,400人、重症化、つまり挿管が必要になるほど悪化したお子さんが231人、亡くなったお子さんが39人いらっしゃいます。多くはありませんが、決して少なくはありません。

https://covid19.mhlw.go.jp/

これらの重症化や死亡リスクを、ワクチン接種により下げることができるデータが出ています(小児科学会の提言の論文を参照されてください)

http://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=507


ワクチン接種による副反応、死亡リスクがゼロとは決して言いませんが、安全性は高いワクチンと言ってよいと思います。

これに対し、感染した場合に一定数重症化やなくなるお子さんがいらっしゃいます。

今の流行状況で感染を逃れることができるかわかりませんが、今後もウイルスの性質上、流行の波が何度も起きることを考えると、いつか感染するかもしれない、その時にリスクを下げるワクチンを接種していないことを後悔しないかどうか? というあたりを考えるといいのかと思います。これについては個々人の価値観も絡んできますので、その答えについては個人で、そしてご家庭で選択していくしかないのかな、と思います。


ワクチン後遺症に関しては、今のところまとまった報告が私には見つけることができておりません。ただ、新型コロナウイルスに感染してから起こる後遺症についてはたくさんの報告が出ています。また、小児に関しては感染後にMIS-Cという川崎病に似た疾患を引き起こすことがあります。

私個人の考えとしては、新型コロナウイルス感染後の後遺症があるということは、ワクチンでもそれは起こり得ることだと思っています。ただ、これまでの知見から考えますと、新型コロナウイルス感染後に起こる後遺症の方が圧倒的に頻度が高く重篤です。その感染後の後遺症やMIS-Cをワクチン接種することによりリスクを低減できることを考えると、メリットデメリットのバランスから、ワクチン接種を勧める方に群杯が上がります。


今、大人はワクチン接種している人がほとんどで、コロナは終わったモードの人もいます。でもそれは、もうすでにワクチンによって「守られている」からなんですよね。ワクチン接種前の、あの「もし感染したら……」という恐怖は、もう通り過ぎて忘れてしまっているのかもしれません。

それに対してノーガードの子どもは、そのワクチン接種前の私たちそのものです。情報が与えられていないので、恐怖を感じていないのは幸いかもしれませんが、「もし感染したら……」の恐怖は大人の我々が感じてあげる必要があるんじゃないかなあ、そのために守る手段があり、あの小児科学会が改めて声をあげているのに(もう本当、動かざること山の如しのあの小児科学会が)と思わないではありません。


めちゃくちゃ長くなりました。

とはいえ、ワクチンを接種して何かが起きた時、これはもう私も一生後悔すると思います。ただ、同時に、もし感染して何かが起きた時にワクチン接種していなかったとしたら、これも一生後悔すると思うんですよね。

今わかる範囲の確率から考えますと、ワクチン接種して何かが起きるより、感染して何かが起きる確率の方が圧倒的に高いので、私は子どもたちにワクチンを接種しました。幸い、長女は筋肉痛が少しあっただけで発熱もなし、次女はなにもなく元気にしています(アレルギーはありますがもともとです……)

(次女の1、2、3回接種後の経過はこちらにまとめています)

https://twitter.com/halproject00/status/1596332379089477633?s=20


ただ、夫さんもものすごくお子さんのことを考えているからこそ、接種に対して慎重になり、反対もされているのだと思います。

話すとすれば、ワクチンを接種した時の未知のリスクを考えるのであれば、感染した時の未知リスクも同時に考える必要があること、そして感染後のリスクは既知のものがすでにたくさんあること。そして、それらはワクチンを接種することでリスクを下げられることがわかっているけれども、接種をせずに感染した時に、自分たちがどう思うか? 接種して感染した時にどう思うか? というようなことを、話すといいのかなあと思います。

その上で、どちらを選択するかは、もうご家庭の選択であり決断であろうと思います(どちらか決めたとしても、また感染状況を見ながら時々話し合うとよいかと思います。お互いの意見を伝えるのは大切なことですから)。

今後流行しないウイルスであるならば、家にこもったり、人と接触を減らして感染しないように過ごし、ワクチン接種しないのも一つの手段と思うのですが、世の中がウィズコロナ、アフターコロナになっている以上、流行が繰り返しおこることが予想されます。そうすると、感染しないように過ごす方がお子さんにとって辛いのではないかと(いや、ワクチン接種しても感染してほしくない感染症なのですが)、そういうことも思うんですよねえ……ワクチン接種率を見ていると、大人は日常が戻るのに、子どもだけノーガードのままコロナの世界に取り残されそうで……


長くなったと書いてからまた長くなりました。

すみません、以上になります。

あまり参考にならないかもしれませんが、ご家族の話のきっかけになれば幸いです。


20230726誤字修正

いつも先生のご回答を参考にさせていただいています。ありがとうございます。

子供の予防接種等で何か迷ったとき、先生の解答をいつも思い出しています。
いつも本当にありがとうございます。

298

2023年07月26日 00時58分
編集済み


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