常に耳鳴りがする

20代女性

5〜6年前から常に耳鳴りがします。
耳鳴りがしているのが通常なので日常生活に支障があると感じたことは特にないのですが、いつも健康診断の聴力検査をする時にヘッドホンをつけると自分の耳鳴りの音でいっぱいになります。
聴力検査の音は問題なく聞こえるので引っかかったことはありません。
テレビの音量は以前と比べたら大きめにしないと聞こえにくいなとは思いますが、そこ以外は日常生活でよくきこえないなと思うことはないです。
耳鳴り自体はキーーーンという感じの高い音で、左右どちらかというと左の方が耳鳴りが大きく感じる気がします。
自分でネットで調べるとメニエールなどが出てきましたが、めまいとかはあまりなく、たまに立ちくらみがある程度です。
貧血気味なので立ちくらみはそれのせいかなと思っています。

①今の状態は受診するべきでしょうか。
②判断に必要な情報が少ないと思いますが、可能性のある病気や原因などを教えていただくことはできますでしょうか。

ご回答いただけますと幸いです。

回答済み

耳鼻咽喉科

ご相談いただきありがとうございます。耳鼻咽喉科専門医の音良林太郎と申します。生活に支障はないものの、だいぶ前からキーンと高音の耳鳴を自覚され、特にヘッドホンをつけると耳鳴が大きくなるということですね。結論から申し上げますと、現時点でなにかしら特定の疾患を疑うものではないですが、一度耳鼻咽喉科での聴力検査をご検討いただくべきかと感じました。また、何かしらで生活上に支障を感じられた場合は耳鳴外来を探して受診していただくのが良いように思いました。


耳鳴が聞こえること自体は異常ではない、ということはご存知でしょうか?最新の研究では、耳鳴は「脳のうち、聞こえを司る部分の神経細胞の活動による電気信号によって生じるもの」、すなわち自然に生じるものと考えられています。例えば静寂な環境であれば誰でも耳鳴が聞こえます。相談者様がヘッドホンをすると耳鳴が聞こえやすくなる、というのはこれが関係している可能性があると考えます。


では、この自然な耳鳴がなぜ病的な耳鳴になるのでしょう。我々医師は耳鳴によって生活上支障を感じた場合に病的な耳鳴と診断します。例えば、耳鳴のせいで聞き取れない、眠れない、集中できないといった症状がある場合、これに相当します。


病的耳鳴はその原因から難聴性耳鳴無難聴性耳鳴の2種類に大別されます。難聴性耳鳴とはその名の通り難聴に由来する耳鳴です。難聴では、内耳の障害により脳に届く電気信号が弱くなっています。すると、脳が信号に対し過敏になることで、弱くなった信号に反応しようとします。結果として耳鳴にも過敏になってしまい、耳鳴を大きく感じてしまうのです。難聴性耳鳴はその特性上、難聴がある耳から聞こえてきます。例えば右側の難聴では右側の耳鳴がしやすくなる、という形です。

一方、無難聴性耳鳴は、脳が持つ「同時に感じた異なる症状を関連させる機能」により、耳鳴と不快な症状が関連してしまった事による症状です。例えばイライラしているときに自然と発生した耳鳴を聞くと、脳が「耳鳴=イライラするもの」と関連づけてしまうのです。こうなると、耳鳴がするとイライラして、イライラすると耳鳴がする、という悪循環に陥ってしまいます。


耳鳴の音質に関しては、難聴性耳鳴では聞こえづらい音と類似した耳鳴が聞こえます。例えば高音域の難聴では高音域の耳鳴、といった感じです。無難聴性耳鳴ではその人によって仰ることが違いますが、高音の耳鳴を訴えることが多い印象があります。

ちなみにメニエール病は「繰り返す難聴・めまい発作」が特徴で、その難聴は低音域中心です。耳鳴もキーンというよりはボー・ゴーと低音域の耳鳴が片側で聴取されることが多く、相談者様のケースには合致しないように思われます。


キーンと両耳に聞こえる耳鳴が脳の病気の前触れであることはほとんどありません。日本・アメリカには耳鳴診療ガイドラインがありますが、耳鳴があるだけでその他の症状がない場合、無闇に頭部MRIなどによる検査は行われるべきではない、と明記されています。


相談者様の場合、20代という年齢を考えますと年齢による難聴というのは考えにくいでしょう。ただ、健診での聴力検査は全く正常であるということではありますが、一度耳鼻咽喉科で聴力検査を受けるのは検討されても良いかもしれません。健診では1000Hzと4000Hzという2周波数を検査しますが、例えばそれより高音の8000Hzは耳鼻咽喉科での聴力検査でないと検査することができません。まだ、健診で聞こえていても年齢に比して難聴の進行を認める場合、精査の対象となることがあります。

テレビの音量が以前と比べて大きい、とおっしゃる部分がやや気になります。唯一懸念する事があるとすると、両側感音難聴がごく軽度あり、自覚できていない可能性を挙げます。耳鼻咽喉科で聴力検査を行い、高音域のみの難聴がある場合は定期チェックを続けることをお勧めいたします。

もし難聴が全く無い場合は、無難聴性耳鳴という判断になるでしょう。この場合は、疲労・ストレス・睡眠不足などが影響している可能性がありますので、まずは生活習慣の改善をご検討ください。

いずれの場合でも耳鳴で生活上の支障を感じた場合、大学病院等の耳鳴外来を受診することをお勧めいたします


以上回答させていただきます。この回答がお役に立てば幸いです。また何かありましたらお気軽に質問ください

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2023年09月28日 07時41分


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耳鼻咽喉科専門医•指導医の音良林太郎@耳鼻咽喉科です。みみ、はな、のどの病気や、首の腫瘍など、気になることはなんでもご相談下さい。専門は耳科、聴覚ですが、めまい、鼻、頭頸部腫瘍、甲状腺なども扱います。
なるべく丁寧に、かつ医学的な根拠とともに解説することをモットーとしています。どうぞお気軽にご相談ください!

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