指名:小児科医れい 先生

中耳炎の診断の難しさについて

10歳未満男性

先生こんにちは。

先日、1歳半の子どもが39度の熱を出して近所の小児科を受診しました。
風邪との診断で様子を見るように言われましたが、結局8日間経っても熱が下がらず、
こちらからお願いして総合病院への紹介状を書いていただき受診したところ、
中耳炎であったことがわかりました。

この8週間の間、小児科をを2日おきに受診し、他に検査の必要はないか?本当にただの風邪なのか?など聞いても、
検査は不要で、子供の発熱はよくあるという回答だったのに、
総合病院で耳鏡を当てたらすぐに診断がついて近所の小児科に不信感を抱いてしまいました。

最初から中耳炎だと分かっていたら、1週間の発熱も想定できて不安な気持ちも軽減できたし、自分の仕事だって調整したのに、と思いました。

小児科で中耳炎の診断をするのはそんなに難しいことなのでしょうか?
また診察時に耳鏡を使用するのは基本的な診察行為ではないのでしょうか?

小児科医のれい先生のご意見をお伺いしたいです。宜しくお願いします。

ご指名での質問をどうもありがとうございます。

お熱がだいぶ長引いたとのことで、お子様はもちろん、親御様も大変でした。総合病院でしっかり診断が付いたということは、抗菌薬で解熱していることかと思います。無事に診断がつき、治療に繋がったようで何よりです。

さて、ご質問の件、まずご理解いただきたいのは、風邪と中耳炎の関係性です。この2つの病気は、それぞれ独立したものではなく、風邪の延長線上に中耳炎があります。鼻と耳は耳管という管で繋がっており、ここを介して鼻水が耳へ向かうことがあります。通常ならその鼻水はまた鼻へと戻りますが、風邪で鼻の粘膜が腫れていると耳管の開口部が狭くなり、なかなか鼻水が耳から抜けません。そうこうしている間に、この耳に溜まった鼻水に紛れていた鼻腔の常在菌が増殖すると、中耳炎が発症するというわけです。

長々とお話しましたが、つまり最初に風邪と診断した小児科医も間違いではなかったのだと思います。

一方で、これまでの指導医たちはみな、発熱している子を診るとき、しっかり熱の原因を考えなさいと教えてくれました。ですので熱の子を診る時は必ず、中耳炎も念頭に置いて診察をします。少し大きくなれば、耳が痛いかを確認すれば良いのですが、お子様のようにまだ上手にお話ができない年代の子を診る際には、耳鏡を使って鼓膜を確認します。ですので、もしお子様の診察で、特に熱が長引いた段階になっても小児科医が耳を診なかったのだとしたら、同じ小児科医として残念に思います。

今後、もし熱が4日以上続いて下がる気配がなく小児科を受診して、耳を診てもらえなかったら、ぜひ「耳も診てもらえませんか?」と尋ねてみてください。恐らく「そうですね、診ておきましょうね!」と慌てて診てくれると思います!

ちなみに、耳鏡を使って鼓膜を見る際、時に耳垢が邪魔して鼓膜を確認できないことがあり、こういう場合に小児科医は無力です。耳垢を除去する手技は、耳鼻科医の専売特許なのです。ですのでもし、お子さんが耳を痛がっていたり、中耳炎を強く疑う状況であれば、最初から耳鼻科を受診することを、私はお勧めしています。

以上、長くなりましたが、今後の参考になれば幸甚です。宜しくお願い致します。

れい先生、詳しい解説ありがとうございます。
近所の小児科の先生の対応についても理解できました。
こどもの病気については、親も知識をつけて、こちらから確認をすることも大切なんですね。
参考になりました。

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2023年10月21日 19時59分


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こども専門病院に勤務している小児科医です。こどもたちの笑顔のために、日々精進しております。

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