指名:こどアレ@小児科&アレルギー 先生

小児のレントゲン撮影について

10歳未満男性

お忙しい中失礼します。
2歳3ヶ月の男児のレントゲン撮影による被爆の影響について質問です。

先日、階段から落下し救急搬送で受診となり頭部は問題なく、左足が痛みあり歩き難いためレントゲン撮影となりました。
特に骨折線も見られないので、「様子見して痛がるようなら街の整形外科受診してMRIとかかな」と言われ帰宅しました。
その際、余り冷静でなかったためレントゲン画像を貰わず帰宅してしまいました。

そして、5日経っても痛いと言って歩こうとしないため近くの整形外科を受診しました。
そこで、ドクターによる足の動きの確認と患部の触診をしてもらい、特に痛がる様子もなかったのですが、何故かレントゲンを撮る事になりました。
強く拒否すれば良かったのですが、「子供は当日に骨折線でない事もある」と言われて撮る流れに組み込まれてしまいました。
救急の際に骨盤含む両足、左足、右足の3枚撮影し、今回も3枚撮影されました。
強く拒否できなかったせいで子供に無駄に被爆させてしまったのでは?と不安と申し訳なさに苛まれています。

あと撮影時、自分自身が妊娠可能性もあるのにかかわらず、防護衣を着て横に付いていなければならなかったのも不安に拍車がかかってます。

まとまりの悪い文章で申し訳ございませんが、回答頂けると有難いです。

小児のレントゲン撮影について、ご指名でのご相談ありがとうございます。2歳のお子さん、「先日階段から落下し救急搬送、左足をレントゲン撮影し骨折線は無し、痛みが持続し5日後に近医整形外科受診、再度レントゲン撮影、救急と整形外科で3枚ずつ6枚撮った、無駄に被爆させてしまったと不安と申し訳なさに苛まれている、撮影時自分自身が妊娠可能性もあるのにかかわらず防護衣を着て横に付かされた、大丈夫か」というご質問でした。

結論から言うと、いずれも心配されなくて大丈夫です。まずは、お子さんの被ばくについてですが、大阪大学医学部附属病院 放射線部の「放射線被ばくに付いて」のがわかりやすかったので、ぜひご参考にして頂くと良いかと思います。

実際、どれくらい以上の被ばくがあると必ず悪影響が出るというラインはありませんし、医療上必要である検査や治療に関する放射線量の上限はありませんが、通常、レントゲンであれば数十枚、撮影場所によっては100枚以上撮影しても問題はありません。参考に、我々医療従事者の放射線量の限度をお示ししておくと「1年間に50mSV、5年間で100mSV」(mSVとmGyはほぼ同じ)ですので、胸部や膝関節のレントゲンなら100枚以上、大腿骨で数十枚以上、撮らなければ問題無さそうだということになります。ちなみに、「子供の放射線への感受性が成人より高いと言われていますが、身体が成人より小さいので、その分、撮影に必要なX線の量も少なくなります」とも書かれておりますし、「子供さんは将来に渡ってX線検査を受ける機会が増えますが、それによって放射線による影響が発生したという疫学的調査結果はありません」とも書かれておりますので、数枚のレントゲンはご心配要らないかと思います。

また、お母さんの被ばくについてですが、そもそも「X線撮影装置は検査を受ける患者様に対して、必要な部位のみにX線を照射するように作られています。したがって、介助者が受けるのは散乱線(水道の水しぶきのようなもの)であり、直接あたる直接線に比べるとほんのわずかな量になります。したがって、介助の方の放射線による影響はありません」となっている上に、防護衣を着られていたようですし、そもそも「放射線によって胎児に影響がでるとされる線量は100 mGyと言われています」ので、お母さん自身がそのまま撮影されていたとしても問題の無いレベルとなります。

お子さんやお母さんへの放射線量としての悪影響はご心配要りません。ただ、ご心配でしたら、今後、画像検査の必要性も含めて、撮影される際にはぜひご相談されると良いかと思います。

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2023年10月26日 17時36分


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