ダウン症の子供について
30代女性
2歳になったばかりのダウン症の息子が居ます。出産後にダウン症であることが判りました。
先生のNIPTについての記事を拝見させて頂きました。その中にも書いてありましたが、私もNIPTを受けなかったことをとても後悔しました。正直、障害を持った子供の親にはなりたくなかったです。
けれども、2年間息子と向き合うなかで、少しずつではありますが、気持ちに変化が起きてきました。将来の不安は消えませんが、息子を幸せにしてあげたいと思えてきています。
ですが、SNSなどでのダウン症に対する誹謗中傷に心を痛めてしまいます。「妊娠したら検査をして、ダウン症なら排除すべき」といった内容を良く見かけますし、「NIPTが陰性で良かった」というのも見ると、私達の子供は生きる価値が無い、NIPTを受けなかった自分は愚かだと言われている様に感じてしまいます。
とりのめの無い内容にはなってしまい申し訳ありませんが、前を向く為に先生からのお言葉を頂きたく、質問させて頂きました。
回答済み
【ダウン症の2歳の息子・母親である自分を応援してほしい】
ご指名でご相談いただきありがとうございます。
どのようなことをお伝えするか、考えていて、お答えするのに時間がかかってしまいました。申し訳ありませんでした。
今の自分がお伝えできることをできる限りお伝えしたいと思います。
まず何より、この2年間、本当にお疲れ様でした。
よく、今日までたどり着いてくださいました。
子育ては、ただでさえ葛藤が強いものです。
親子は物理的にも心理的にも距離が近いからこそ、親から子どもに対して愛情だけではなく、憎さ・苦しさが出てくるのが現実だと思います。
加えてお子さんに病気がある場合、そしてその病気が治らないものである場合、親御さんの苦しみ・運命に対する悲しみや怒りは、さらに大きくなるものだと思います。
ただでさえ、そのような大きな葛藤がある中で、SNSで当事者以外の部外者が好きなことをいうことで葛藤は傷つきに変わります。
同じ状況の当事者の方の声も力になることもあると思いますが、やはり、傷つきになってしまうこともあると思います。
意見を言うことは大切ですし、SNSに限らず、社会全体で議論が行われるべき内容であることは間違いないですが、その議論は丁寧に、当事者が守られながら行われる必要があると小児科医としt感じています。
僕が、今回の相談内容を拝見して思ったことは、
・『頼ってくださって良かった』
・『力になれて嬉しい』
・『できる限りの想いを届けたい』
この3つです。
『前を向くために僕の言葉が欲しい』、そう言ってくださいました。
お子さんのために、そしてご自身のために、自分たちを大切に思うために僕を選んでくださったことが嬉しいのです、小児科医冥利に尽きるとはまさにこのことです。
僕がお伝えしたいのは、
我慢しないでほしい、無理をしないでほしい、愚痴をこぼしてほしい
ということです。
お子さんが生まれてからの2年、いろんなことを我慢してきたと思います。いろんな無理をしてきたと思います。いろんな愚痴を飲み込んできたと思います。
少しずつ我慢しない時間をお母さんにも作ってほしい、無理をしていたら休んでほしい、飲み込んできた思いを吐き出してほしい、心からそう思いますし、そうお伝えしたいです。
お母さんがお子さんから離れられるタイミングはありますか?お子さんを他の方に任せられる時間はありますか?
もし今の時点で、そのような時間がなかったら、病院のソーシャルワーカーや子育て家庭支援センターに相談しましょう、力になって一緒に考えてくれる人がいるはずです。
この1回のメッセージで、お母さんの思いが解決し、心が晴れるわけではないと分かっています。
ただ、それでも僕を頼ってくださった、信じてくださったお母さんに今の僕ができるベストを尽くしたいと思っています。
お子さんのためでもあります。
お子さんは、お母さんにとって大切な我が子であるだけでなく、
社会から、尊重され・大切にされ、そして可愛がられる存在です。
社会の中で、そのことを理解していない人がいます。
それは事実です。
ただそれでも、そのことを理解し、お母さんのこと、お子さんのことを尊重し大切にする人もいます。
僕だけでなく、多くの小児科医もそうです。
僕だけでなく小児科医を含めた、良識ある大人が、お母さんのこととお子さんのことを守り、相談相手になることを心から願っています。
少しでも支えになれば、そんな思いでメッセージを送らせていただきます🍀
何度でもお力になります、心を込めて。
Dr.NK
2023年11月15日 12時45分
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です.
【公認心理師】の資格も保有してます.
3次救急を行っている当直医としても働いています.
お産の立ち会いにおける新生児の蘇生, けいれん, 呼吸器感染症, 喘息, 胃腸炎の対応なども行っています.
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