唾石症

40代女性

15年前から唾石症の症状があり、5年前に耳鼻科を受診しCTで右顎下腺に1センチの唾石を認め、経過観察でした。症状はたまに食事の際に顎下が腫れる程度だったのですが、今月初めの定期検診のCTで少し石が大きくなっているので昨日手術することになりました。
手術は口腔内粘膜を切開して唾石が出てくるルートをつくるというものでした。その時にうまくいけば唾石の摘出もできるかもと言うことでしたが、唾石の摘出はできませんでした。
唾液腺を途中で切開しそのままの状態にしておくというものはよくある手術なのでしょうか?切開したところから唾液が出るようになるという説明でした。ネットで唾石症の手術例を見てもそのような内容のものが見当たらないため心配です。切開した部分はそのままで大丈夫なんでしょうか?今は痛くて唾を飲み込むのも辛く、水以外のものを口にすると傷口が痛くて口にできません。
また右顎下が少し腫れていて痛いです。

ご質問ありがとうございます。耳鼻咽喉科専門医の音良林太郎です。1cm程度の顎下腺唾石症で、増大傾向が見られたため口腔内からの摘出を試みられたが、結果的には唾石がとれなかった。切開部がそのままであることが不安であるのと、痛みがかなり強いということですね。結論から申し上げますと、切開部はそのままでも問題ないかと思いますが、痛みが強いようですので、早めに一度主治医の先生に診察を受けたほうが良いかもしれません


なお、この投稿は一度昼頃に行ったつもりでしたが、通信の問題か反映されていませんでした。同じような投稿が表示されてるようであれば申し訳ありません。


顎下腺唾石症は顎下腺から口腔底に至る顎下腺管(ワルトン管)に石ができてしまい、顎下腺の腫脹を繰り返す疾患です。顎下腺が重力に逆らって唾液を出すような構造であることから他の唾液腺に比べると石ができやすいと言われています。また、微小な感染が契機になるという説もあります。

唾石症の治療法は唾石の位置とサイズによって異なります。小さいもので症状が軽微な場合、特に治療は行わず経過観察となります。しかし、感染を繰り返したり、痛みがあるようであれば手術による摘出を行います。小さく、口腔底のワルトン管開口部に近い場合は局所麻酔下に口腔内から切開し摘出を行います。しかし、唾石が大きく顎下腺に近い場合は全身麻酔下に顎下腺ごと摘出する必要がある場合もあります。


相談者様の場合、口腔内から切開を行ったということですね。今回の切開法であれば、切開した部分はそのままでも大丈夫であると考えます。「唾液腺を途中で切開しそのまま」との表現でしたが、唾液腺自体を切開することは考えにくいため、唾液腺管(=ワルトン管)を切開したまま、という形で理解し、そのように説明させていただきます。

口腔内法による唾石摘出術の場合、ワルトン管を切り開く形で唾石の摘出を試みます。唾液腺管はむやみに傷つけてしまう(例えばワルトン管があると気づかずに切ってしまう)ような行為では術後の癒着により唾液週流出障害が問題となることがあると知られています。ただし、ワルトン管の開口部と走行をしっかり確認しメスで切り開く方法であれば、きれいな創部になりますので、このように癒着を起こすリスクは非常に低いと言えます。特に縫い合わせたりせず、そのままでも問題有りません。


ただし、痛みが非常に強そうなのが気になります。つばを飲み込むのも辛い痛みがあるということで、感染を起こしている可能性があるように感じます。創部の状態を観察する必要があると思われますので、なるべく早く主治医の診察を受けられたほうが良いでしょう。明日にでも病院へ相談されてはいかがでしょうか。


以上、回答させていただきます。この回答がお役に立てば幸いです。また何かありましたらお気軽に質問ください。

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2024年05月15日 20時26分


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耳鼻咽喉科専門医•指導医の音良林太郎@耳鼻咽喉科です。みみ、はな、のどの病気や、首の腫瘍など、気になることはなんでもご相談下さい。専門は耳科、聴覚ですが、めまい、鼻、頭頸部腫瘍、甲状腺なども扱います。
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