指名:相川晴(HAL) 先生

新型コロナ、どこまで怖がればいいのか

10歳未満男性

新型コロナの感染対策についてのご質問です。
新型コロナは感染した回数が増えるほど後遺症が出たり、様々な病気を引き起こす原因になるというような情報を見て、極力かかりたくないと思って生活してきました。

4歳の子どもがいるのですが、入園して3ヶ月で何度も園から感染症をもらっており、毎回コロナじゃないかとヒヤヒヤしています。
今のところ、ワクチンを打ったり、園で体調不良の子が増えてきたら息子ができそうなときだけマスクをしてもらったりして少しでも予防できたらと生活していますが、最近全国的にコロナが増えてきて、予防のために休ませることも考えています。

まだまだこれからの長い人生なので、なるべく感染回数は少なくしたいと思うのですが、どれくらい警戒すべき病気なのでしょうか?
正解が分からないまま日々過ごしています。

ご回答のほどどうぞよろしくお願いいたします。

回答済み

一般内科

ご相談ありがとうございます。回答が遅くなり申し訳ありません。

4歳のお子さんがいらっしゃって、新型コロナウイルス感染症をどのくらい警戒したらよいのか……といったご相談ですね。


お子さんが入園されてから、おそらく手足口病その他名もない風邪も含めていろいろな感染症が流行してましたし、そもそもそれまで集団生活をしていなかった場合、いわゆる「洗礼」を受けて、よくわからない「風邪」をくり返されたことと思います。本当にお疲れ様です。

質問者さまのおっしゃる通りで、まさに「正解が分からない」んですよね。これはとても難しい問題だと思います。

感染後の急性の症状だけでなく、long COVID(コロナ後遺症)があることも考えますと、感染はできるだけ避けたいですし、特に繰り返しの感染は、いつか厄介なコロナ後遺症を引き当てる可能性も上がってくると思うので、避けたいところです。

しかし、流行時に休ませるかどうか、ここはメリットデメリットのバランス問題がでてきます。休ませることで園経由での感染症は予防できますよね、これは大変大きなメリットです。一方で、お友達と会えないとか、園で体験できることができないとか、保護者の方の生活やお仕事に多大な影響が出るとか、そういったことが起きるのはやはりデメリットです。

ただ、「園では新型コロナで休んでいる子はいなそう」という状況で登園させるのと、「クラスの子が半分休んでいて、出席している子もほとんど咳をしている」という状況で登園させるのは、登園による感染リスクは全然異なってくるだろうと思います。感染状況により、休ませることによるメリットデメリットのバランスは大きく異なってきます。

感染対策が、かえって「害」になるのは、これでは意味がないんですよね。


健康は本当に大事で、後遺症も含めて、新型コロナ感染症は決して油断できない感染症ですし、できるだけ感染の回数を減らした方がよい感染症である、と私は考えています。

一方で、感染症を防ぐだけのために人間は生きているのではない、とも思います。長い人生、一度きりの人生ですので、感染症対策も大変重要ですが、お子さんと一緒に今しかできなことをいろいろ体験したり、生活のためにお仕事をしたり(仕事はとても重要です)して、毎日を楽しんでほしいと思います。

ご相談の文章を拝読しますと、ワクチン接種している(素晴らしい)、流行時には可能な範囲でマスクをしている(素晴らしい)、と、4歳の幼いお子さんとしては出来る限りの対策をされているのでは、と感じました。

必要に応じて休ませる必要があることもあると思いますが、今のような対策をしつつ、園での生活も楽しんでもらえたら……と思うところです。

うーむ、うまく話がまとまらず申し訳ありません。本当に答えがなくて……。



ワクチンを接種されているとのことですので、少しワクチンについて検討してみましょう。

成人だけでなく、小児に関してもlong COVIDは問題視されています。ただ、有病率については報告によりまちまちですが、成人と比較して頻度が少ない、期間が短い、年齢の高い子の方がなりやすいという報告が多いようです。

AAPが、ワクチン接種とlong COVIDの関係について今年の1月に研究の結果をあげています。

https://publications.aap.org/pediatrics/article/153/4/e2023064446/196419/Vaccine-Effectiveness-Against-Long-COVID-in

1037936人を対象に行った研究で、ワクチン接種(1回以上)していたのは67%、新型コロナ感染症患者のうち、long COVIDと診断されたのは0.8%でした。

ワクチン接種の1年以内の有効率は41.7%(診断されたlong COVIDに対して。特に青年に対して有効)

ワクチン接種6ヶ月での有効率は61.4%

ワクチン接種18ヶ月での有効率は10.6%

というのが大まかな結果となります。


で、これまでの研究から、ワクチンの感染予防効果は短期間しか期待できず(3ヶ月程度)、一方で重症化予防効果は長期間持続するだろうと考えられます。

ワクチンはどうも感染予防効果や重症化予防効果だけでなく、コロナ後遺症に関してもある程度の効果が期待できそうです。ただ、6ヶ月→18ヶ月で有効率がぐっと下がっていることを見ますと、やはり1年に1度程度は接種しておいた方がいいのかな……というのが私個人の感想です。




最後に、モデルナ社が出している患者の推計が書かれたサイトをご紹介します。

https://moderna-epi-report.jp/

流行の状況としては、今現在急増中です。ただ、ここ2年の動きを見ますと、夏と冬の大きな二つの波がありますので、今年も同様、という印象です。

ここ2年で見ますと、8月20日あたりでピークがきています。夏休みで患者数が抑えられないあたりを見ますと学校などが流行の主体ではなさそうだな、と思いますし、実際、患者数も20-60歳の働き盛りの世代が中心のようです(元の人口等の問題もあるので、あくまでも私の感想です。あと、高齢者の増加が個人的には気になっています)

住んでる地域ごとのデータも出ますので、流行の様子を見ながら(園の先生にも時々様子を伺うと、園内の流行状況を教えてくださると思います)、登園の目安にしていただけたらよいかなと思います。


以上になります。

長々と書きましたが、「休ませろ」とも「安全だよ」とも断言できず、申し訳ありません……。

本当に答えがない問題になりますが、今はメリットが大きいのは、今はどっちかな? そんな風に、日々の状況を見ながら対策をされるといいのではないかと思います。

正直、もう早く「ただの風邪」になってくれないかな……とずっと思っているんですけどね……本当に厄介な感染症です。

お互い、(無理しない範囲で)頑張っていきましょう。

少しでも参考になれば幸いです。

(今後流行するウイルスの傾向によって、ものすごく小児の後遺症が増えるとか、重症化しやすくなるといったことが出てきた場合は、メリットデメリットがぐっと変化しますので、また全然別の回答になってきます。あくまで現在の状況での回答、ということで読んでいただけますと幸いです)

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2024年07月26日 01時05分


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