相談詳細

指名:相川晴(HAL) 先生

ワクチン後遺症について

10歳未満男性

私達は夫婦共に新型コロナワクチン3回接種済み、2歳の息子にも早く打たせたいと思っていました。 しかし、身内から「知り合いが接種後目が見えなくなり、大学病院の先生に「ワクチン接種後同様の人が全国にいる」と言われた」という話を聞きました。 また、ワクチンで重い後遺症が出た人が何人もいると聞き、少し怖くなってしまいました。 2020年の春頃、「妊婦はコロナで重症化しない」と国からの発信がありましたが「普通の感染症でも重くなりやすいと聞くのに今はまだ妊婦の感染者が少なくて分からないだけでは?」と疑問に思っていました。 そしてデータが集まり、やはり今では妊婦は重症化リスクがあると言われるようになったということもあったので、ワクチンに対しても今後意見が変わることがあるのでは?という不信感も少しあります。 今はまだ因果関係が分かっていないだけで今後やはり危険性があると言われるのではないかと。。 ワクチン接種によるメリットはよく分かっており、早く打たせたいという気持ちがほとんどなのですが、ワクチン接種により重い症状(副反応レベルでなく)が出ることは絶対ないと言えるのでしょうか? よろしくお願いいたします。

回答済み

一般内科

指名相談ありがとうございます。 私では少し力不足かもしれませんが、精一杯回答させていただきますね。 おっしゃる通り、医療の世界、データの蓄積や解析によりそれまでの常識がくつがえることはあります。 それは過去の知識が間違っていたから、というのとは少し違います。 例えば、育児の常識が親の世代と変わっていますが、それは親の育児が間違っていた、というのとは違いますよね。今と昔ではとりまく環境も変化していますし、親も我々も、その時点でわかっていることから、よりよい育児をしていると思います。 それと同じで、医療も「その当時のデータではAと考えるのが妥当」であり、その後知見が増える&時間も経過して状況が変わる(例えば、今回の場合はウイルス自体も変異していきました)と、「現時点のデータではBと考えるのが妥当」と変化していきます。 そしてこれが常に正しいわけではなく、また状況が変われば、「現時点ではCと考えるのが妥当」と変化していくことも考えられます。 Aと考えていたことも、Bと考えていることも、Cと変化することもどれも間違いではなく、「その時点の最善」を追究しているのだと考えてください。 さて、ワクチンに関してですが、その安全性は監視され続けています。 例えばアメリカではVSD(Vaccine Safety Datalink)といって、ワクチン接種後に起こったよくない出来事が、果たしてワクチンによって引き起こされたのか? それともワクチンの後に偶然起きただけなのか? というのを比較するシステムがあります。 例えば今回の例で言うと、ワクチンを打った後に目が見えなくなった人の割合が、ワクチンうってなくて目が見えなくなった人の割合(自然発生率)と比較して、増えているか比べるんですね。もしその割合に変化があれば、もしかして副反応では? と推測されますし、詳しくデータを解析していくことになります。 今「目が見えなくなった」という人という人にワクチンの接種歴を聞くと、約8割の人が新型コロナウイルスワクチンを接種していることが予想されます。どうでしょうか、とても多いと感じませんか? なぜそんな予想ができるかというと、今日本では8割以上の人がワクチンを接種しているからです。 ワクチン接種後にそんな症状の人が増えているのも当然です。なぜなら、以前はワクチンが存在していなかったわけですから。 ワクチン接種後の体調不良を否定しているわけではなく、また、ワクチン接種による重篤な副反応が存在しないと言っているわけではありません。ただ、そのようにワクチン接種と症状をそのまま結びつけて「ワクチン後遺症」と言ってしまうと、本来別の病名であり、治療法もある病気なのに、「ワクチン後遺症だから」と適切な治療を受けることができない人が出てくる可能性があります。なにせ8割の人が接種していますので、安易に「ワクチン後遺症」と診断することは、大変危険だなと感じています。 ワクチンの後遺症なのかどうかは、きちんと「ワクチン接種の影響で起きた」のか「ワクチンを接種した後に偶然起きただけ」なのか、比較検討する必要があります。 今後、ワクチンの影響でなんらかの症状(後遺症)が起きていることが、はっきりしてくる可能性はもちろんあります。ただ、現時点で、そのように目が見えないなどの症状がある人が急増していたら、医師も黙ってないと言いますか、学会でも論文でもなんでもがんがん報告があがっていると思います(数例程度の症例報告レベルではあがっていますが、因果関係については今後の報告が待たれます) 一方で、他のワクチンでも同様なのですが、ワクチンの副反応より実際にその病原体に感染した時の方が症状が強い、というのが一般的です。ワクチンで起こる体の反応に対して、実際にウイルスが入ってきて起こる体の反応の方が圧倒的に大きいんですね。抗体もたくさんできますが、体のダメージは甚大です。 なので、ワクチンの後遺症というものがあるのであれば、おそらくそれよりも新型コロナウイルス感染症後の後遺症、の方がひどいことが予想されます。 実際、long-covidなどとも呼ばれる新型コロナウイルス感染症の後遺症が現在注目され、少しずつその実態がデータとしても示されるようになってきています。例えば新型コロナウイウルス感染後の失明については、アメリカのJAMA ophthalmologyで網膜血管閉塞が増加するという論文が出されています(431515人のデータを元に作られています)。 長くなりました、申し訳ありません。 私としてはワクチン接種による重い症状が出ることが絶対ないとは思っていません。ただ、ワクチンを接種するよりも実際に感染した場合の方が重い症状が出ることが予想されます。 ワクチン後遺症というものがないとも思いませんが、現時点ではれが単純にワクチン接種後に起きただけなのか、ワクチン接種と関係あるのかを明確に示すデータが不十分だと思っています。 それに対し、感染後の後遺症が、感染してない人と比較したデータとして明らかになってきています。 ワクチン後遺症についてはないとは断言できないし、もちろん断言する気もありません。が、現時点ではワクチン接種後のデメリットより、新型コロナウイルス感染後のデメリットの方がはるかに大きく、ワクチン接種によりそのデメリットを減らすことができる(新型コロナ後遺症が起こりにくくなる)ことを考えると、ワクチン接種することに軍配が上がると考えています。 本当に長くなって申し訳ありません。 我が家も3歳の娘がいますので、早くワクチンが承認されてほしいですし、そのデータについてはきちんと検討したいと思っています。 なにかの参考になりましたら幸いです。 新型コロナ後遺症については忽那先生の記事がわかりやすかったので参考にどうぞ。 https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20220619-00301500 参考 Changes in the Incidence of Retinal Vascular Occlusions After COVID-19 Diagnosis https://jamanetwork.com/journals/jamaophthalmology/fullarticle/2790988 Risk of long COVID associated with delta versus omicron variants of SARS-CoV-2 https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(22)00941-2/fulltext

頭では理解していてもなかなか不安が拭えませんでした。子どもの接種券が届き迷っていましたがたまたまこちらを見つけてよかったです。投稿者さんではありませんが参考になりました。ありがとうございます。

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2022年10月01日 19時35分


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