相談詳細
指名:こどアレ@小児科医|アレルギー専門医 先生
経皮感作について
10歳未満女性
回答済み
ご指名でのご相談ありがとうございます。 乳児のお子さん、経皮感作について、「手づかみ食べによる経皮感作のリスクはあるのか?食後すぐに手を拭いたりすれば良いか?」というご質問でした。 経皮感作の予防についてご存じで対策を考えられていて素晴らしいと思いました。経皮感作についてどこまで気を付けるべきかという回答は、おそらく医師によって多少違うとは思いますが、僕なりの考えを書かせて頂きます。 まず、そもそも、経皮感作により食物アレルギーを発症するということはよく知られておりますが、どれくらいの期間、どれくらいの量が付着すると感作が成立し食物アレルギーを発症するのかはわかっておりません。「お子さんの皮ふの状態」「お子さんのアレルギー体質」「周囲のアレルゲンの量」「アレルゲンを食べているかどうか」などによっても、その後に感作するかどうかは異なるかと思われます。逆に、皮ふの状態があまり良くなくても、食べる際に何も気を付けていなくても、食物アレルギーにならないお子さんもたくさん居ます。少なくとも、少し触っただけですぐにアレルギーになるということはありませんので、過剰にご心配され過ぎなくても良いかと思います。 アレルゲンになりがちな食物タンパク質が皮ふに付かないようにするということは予防対策の一つとして重要だとは思いますが、実は、調理する際に、他の人が食べる際に、あるいは食事が体や服に付着して、ベッドルームを含め家庭全体にタンパク質が拡散されることがわかっております(ほむほむ先生の記事「日本の家庭のハウスダスト中の卵蛋白質量は、ダニ蛋白量より多い」https://pediatric-allergy.com/2019/06/23/egg-antigen/参照)。 つまり、手づかみ食べの後の手洗いや口の周りを拭くなどだけでは、お子さんへのアレルゲンの付着を完全にシャットアウト出来るわけではないと考えられます。だからといって手洗いが意味が無いと言っている訳ではありません。手からの付着以外にも、体や髪、蒸気、食べこぼし、などでアレルゲンは拡散されておりますので、手に付くことを恐れ過ぎたり、手洗いを重視し過ぎなくても良いのかなというのが僕の考えです。念のために補足しておくと、家庭でアレルゲンになりそうなものを一切食べないとか、掃除を頑張り過ぎるなんてことは決してしないでください。アレルゲン対策は親御さんに過度な負担が無く、その後も継続出来る現実的な方法でするべきだと考えております。 手づかみ食べは、お子さんの発達には重要ですから、ぜひして欲しいです。「出来るだけ手や口の皮ふの状態を良くしておく」「長い時間食べ物が皮ふに付着し続けないようにする」「食べる時に口の周りにワセリンを塗っておく」ということは意識されると良いかと思いますが、これまで書いてきた通り、過剰に心配し過ぎる必要はないかと思います。 また、もう1点食物アレルギーの発症に関して重要なことは、食べ始めを遅らさずに少量から継続的に食べ進めることです。食べ進めることで食物アレルギーを発症させないという可能性があると考えられております。かかりつけの先生とご相談されながら、適切な時期から離乳食を進めていかれると良いかと思います。
丁寧にご回答いただき、ありがとうございました。過度に心配しすぎず、できる範囲の対策を継続していきたいと思います。
2023年01月26日 20時25分
編集済み