相談詳細
保湿剤の選び方について
10歳未満男性
こんばんは。 ご相談いただき、ありがとうございます。 アトピー性皮膚炎で炎症が落ち着いた後に自宅で使用する保湿剤の選び方についてのご相談ですね。 保湿剤を普段から処方している医師としては、患者さん側からこういったご相談をいただけることはとてもありがたいです。 私自身も外来でアトピー性皮膚炎で安定してきた場合は、なるべく市販の保湿剤を使用することをおすすめしています。金銭的な負担や効果の安定性などのみを考えた場合、ヒルドイドなど処方薬のメリットも小さくないのですが、市販の保湿剤は好みの感触(使い心地)を選ぶことができ、ポンプ式のものも多いため、塗るのにかかる時間全体を減らすことも可能です。 こういった場のため、商品名「〇〇」をおすすめしますなどは控えますが、選び方について、いくつかのポイントに分けて説明させていただきます。 ① 原材料にピーナッツオイルなど食物由来の成分がないもの → 食物成分が含まれていると経皮感作(皮膚からアレルギーを作り出してしまう)のリスクがあるため使用しない方が良いです。同様に過度に天然成分由来になっているようなものもあまりおすすめはしていません。 ② コストパフォーマンス的に継続が可能なもの → あまりに高価なものを使用してしまうと、使う量を控えたり、途中で継続できなくなってしまう可能性が上がります。保湿剤は十分な量を継続して使っていただくことをおすすめしますので、コスト面は始めから考慮しておきたいポイントです。 ③ 本人・家族が塗りやすいもの → 言うまでもありませんが、続けて塗っていく上では塗り心地がとても大切です。市販の保湿剤は思っている以上に使い心地はそれぞれ違いますので、いくつか試して好みのものを選んで頂くと良いかと思います。 ④ できればモイスチャライザーと呼ばれるタイプの保湿剤 → ご存知かもしれませんが、保湿剤には大きくモイスチャライザーとエモリエントの2種類に分けられます。大雑把なイメージとしては、モイスチャライザーは乳液やクリームタイプ、エモリエントはワセリンやオイルタイプです。 どちらが優れているなどで分けられるわけではありませんが、乾燥肌に使う場合はモイスチャライザータイプがおすすめです。ワセリンなどエモリエントは安価であること、皮膚への刺激は少ないこと、保護作用があることなどから使い所を意識するととても便利ではあります。例えば、よだれかぶれやおむつかぶれの予防・治療などではとても有用です。ただ、使用感があまり良くなく、皮膚への保水効果があまりないことから、全身にたっぷり塗るものとしてはモイスチャライザーが勧められます。 ⑤ できればポンプ式がベター → これは個人的な印象ですが、ポンプ式の方が圧倒的に楽です。ポンプ容器に移し替えなども物によっては可能ですが、それも負担が増えるので、始めからポンプ式で売っているものの中から選ぶことがおすすめです。 主なポイントは上記かなと思います。 ただ、重症度などによっても少しおすすめするものが変わることはありますので、よろしければかかりつけの先生にも何かおすすめはないか確認していただくことをおすすめします。 長文を失礼いたしました。 ご参考になりましたら幸いです。
2023年02月07日 00時58分