相談詳細
指名:高橋怜奈/産婦人科医YouTuber 先生
無痛分娩のメリットデメリットについて
30代女性
回答済み
ご質問ありがとうございます。そして、ご懐妊おめでとうございます。 陣痛に不安があり、無痛分娩を検討されているけれどもメリットとデメリットが知りたいというご相談ですね。 まず、無痛分娩に対応できる医療機関と、対応していない医療機関があるのですが、ご質問者様の出産予定の医療機関では対応されているとの事ですね。無痛分娩を選択するにあたり、施設選びも大切です。例えば日中しか無痛分娩に対応していなかったりすると、希望していても夜中に陣痛がきた場合には料金は払ったけれども対応できなかったという事もあります。 そして症例数やスタッフのマンパワーも大事です。可能であれば産科に特化した麻酔科医師が常駐する医療機関が望ましいです。ただ実際はまだそのような施設はとても少ないです。 次に一般的な無痛分娩についてのメリットとデメリットをお話しします。 メリット ①陣痛や縫合時の痛みが軽くなる これは1番のメリットです。落ち着いて分娩に臨めます。特に元々陣痛に強い不安のある方は、分娩時にパニック状態になってしまい、いきみを逃すべき所で逃せなかったりうまくいけめなかったりします。 陣痛の痛みを軽くする事で、いざ分娩となった時にむけて体力を温存する事ができます。 さらに痛みを軽くする事で、血圧の上昇を抑えることができるので、妊娠高血圧症候群や強い痛みでストレスになるように疾患のある妊婦さんは無痛分娩が適しています。 ほかにも不安の強いの方やパニック発作が起きやすい方なども落ち着いて分娩に臨めるので適しているでしょう。 また、分娩後に会陰切開や会陰裂傷に対して縫合する際に痛みがないというのもメリットです。 ②何かあった時にすぐに帝王切開に臨める 無痛分娩の際は麻酔薬を既に入れているので、新たに処置を追加する事なく帝王切開ができるので、万が一赤ちゃんの具合が悪くなってしまった際の救命までの時間が短くなります。 ③分娩後の回復が早い どんな分娩方法であったとしても、出産する事は体にとって大きなダメージであることに変わりはないのですが、無痛分娩で痛みを極力抑えることで、痛みの強い陣痛のストレスや疲労を減らし、比較的回復が早い傾向にあります。また、痛みの強い陣痛を経験した方の中には、トラウマになってしまい、次の妊娠に踏み切れないという事もありますが、痛みを抑える事でそのような心身の負担も軽減できます。 次にデメリットです。 デメリット ①微弱陣痛 ご質問者様も仰るように、比較的頻度が高いものです。麻酔薬の影響で陣痛が弱くなり、分娩が進みづらくなる事があります。 その場合、陣痛促進剤を使用したり、吸引分娩や鉗子分娩、帝王切開といった医療介入が多くなる可能性があります。ただし無痛分娩の有無に関わらず、母体や胎児の状況によってはこれらの医療介入は必要になる場面があるため、無痛分娩にしなければ必ずしも医療介入が少なくなる、というわけではありません。 ②麻酔薬による副作用 かゆみ、体温上昇、発熱、まだら効き、頭痛など、麻酔を使わなければ起こらなかった可能性のある副作用がある場合があります。 ③硬膜外麻酔挿入に伴うトラブル 血腫や感染などが起こる可能性があります。そのため、処置に精通した産婦人科医や麻酔科医がいて、十分な症例数がある施設が安心です。 ④費用が追加でかかる 医療機関や使う麻酔の種類や手技によって費用は異なりますが、数万円から20万円程度プラスになることが多いです。 ⑤無痛分娩を取り扱う施設が少なく、選択が難しい 無痛分娩に慣れている、精通している医療機関を選択したくても、患者さんがどの施設がよいかを選ぶのが実際は難しいです。 大まかにメリットとデメリットをお伝えしました。 最終的には施設選びはとても大事だと思います。 そして、陣痛に対する強い不安があるようであれば、リラックスして臨めるため、大きなメリットになると思います。 個人的な意見ですと、施設やスタッフが整っているのであれば、無痛分娩を選択する人がもっと増えたらいいなと思っています。 痛みが楽になる事は最大のメリットですが、一番は安全に出産をおえる事ですので、ご出産予定の医療機関で、例えばトラブルになった時にどのような対応をするのかとか、搬送をする必要があるのかとか、もう少し質問をして決定されてもいいと思います。 ご参考になれば幸いです。 案ずるより生むが易しという言葉が的を得ている場面もありますが、是非このお産が素晴らしい思い出になるよう、いい選択ができ、そして元気なお子様にお会いできることをお祈りしています。 また何かご不安なことがありましたら、いつでもご相談くださいね。
2023年02月09日 09時45分