相談詳細
指名:高橋怜奈/産婦人科医YouTuber 先生
低用量ピルと痛み止めの相性
20代女性
回答済み
ご質問ありがとうございます。 ピルとアセトアミノフェンを併用していいかとのご相談ですね。 月経困難症でピルを内服している方の場合、元々アセトアミノフェンなどの鎮痛剤を服用している方も多いです。ピル服用後も、痛みが完全に治らない時は鎮痛剤を併用してほしいです。 しかし、アセトアミノフェンに関しては、禁忌ではないのですが、やや注意が必要だと添付文書にも記載があります。ただ致死的であるとか、大きな問題になるほどではありません。 ピルにはエチニルエストラジオールという成分が含まれています。 アセトアミノフェンは簡単に言うとエチニルエストラジオールの排泄を遅らせるため、ピルの副作用が強く出てしまう可能性があります。 月経時の腹痛以外に、月経前や月経開始時に頭痛が毎回出てしまう方がいて、月経関連片頭痛と診断される事があります。 これは女性ホルモンが関連していて、エストロゲンの血中濃度が低下する時やピルの飲み始めの時に発症または増悪する事が多いです。 ピル内服中にアセトアミノフェンを内服する事でエチニルエストラジオールの血中濃度が変動して、さらに頭痛が悪化してしまうことが考えられるので、ピル内服中に頭痛があって鎮痛剤を使用する際は、アレルギーなどでアセトアミノフェンしか使えない方でなければ、ロキソプロフェンナトリウムやイブプロフェンを使用する方が望ましいと考えます。 また、エチニルエストラジオールは、アセトアミノフェンの排泄を促して血中半減期を短縮する作用もあるため、アセトアミノフェンの鎮痛作用が弱まる事が分かっています。 いずれにせよ、ピル内服中のアセトアミノフェンの併用は禁忌ではないけれども、少し注意しましょうという立ち位置です。大きな問題にはならないであろう事や、痛みをきちんとコントロールしてほしいという事で、かかりつけの先生は問題ないとおそらく仰ったのだと思います。 先に述べたように、アセトアミノフェン以外の薬でも代用可能であればロキソプロフェンナトリウムやイブプロフェンの方がよいでしょう。 以上、ご参考になれば幸いです。 また何かご不安な事がありましたらいつでもご相談下さいね。
2023年02月17日 22時36分