相談詳細
指名:音良林太郎@耳鼻咽喉科 MD, PhD 先生
リンパの腫れと扁桃炎について
30代女性
回答済み
質問いただきありがとうございます。抗生物質の内服にも関わらず、リンパの腫れと扁桃炎が比較的長期に続いているということですね。そうしたケースではウイルス性扁桃炎の可能性を考えます。自然に軽快することもありますが、EBウイルスかどうかはお話だけでの診断は難しいので、もし希望があれば採血検査を前提に紹介状を書いてもらうよう相談するのも一つの方法かもしれません。 まず、経過を詳しく書いていただいてありがとうございます。第一にリンパ節の腫れですが、超音波検査まで行って「浅い部分の腫れ」という診断を受けているということですね。リンパ節は正常な構造の一つですので、腫れを触れること=異常ではありません。触診をしないとわかりませんが、頻度的には皮膚直下のリンパ節は扁桃炎に伴うものより、皮膚の炎症などに伴うことが多いです。また、もともとあったリンパの腫れに後から気づいた、という方もしばしば見かけます。 リンパ節の大きさも診断に重要です。部位によりますが、1.5cmを超える場合、病的な腫脹と考えます。 超音波検査を行うことで、大きさ、構造といった内部の評価を行うことが最も精密な検査になります。すでに超音波検査を行っているということですので、リンパ節の腫れが重篤な疾患である可能性は低いと思われます。ただし、EBウイルスの感染かどうかは超音波検査では診断できません。 次に、微熱と痛みを伴わない扁桃炎についてです。微熱がありますので何らかの感染症である可能性は非常に高いでしょう。感染症は主として細菌性とウイルス性のものがあります。そして、扁桃炎では細菌性とウイルス性の感染症はほぼ半々と言われています。 細菌性感染症に対しては抗生剤が非常に有効です。相談者様の経過ですと、抗生剤の内服にも関わらず長期に症状が続いていることから、ウイルス性扁桃炎である、もしくは1種類目の抗生剤が効いていない、の2通りの可能性があります。この両者を見極める有効な方法は採血と培養検査になります。ので、しっかり診断をつけたい場合は採血を行うことがあります。 EBウイルス感染症による扁桃炎(伝染性単核球症)についてですが、青年期以降にEBウイルスに初回暴露された場合に起こる感染症で、多くは高熱と強い咽頭痛を生じ、頚部リンパ節の多数腫脹と肝障害、脾腫、全身倦怠感、皮疹などを生じる疾患です。症状が強い場合入院することもあります。このあたりの症状は相談者様とは必ずしも一致しないように思われます。 伺いたいのは、膿がひかないということですが、37.5度以上の熱がずっと続いたり、リンパ節の腫れが徐々に悪化していたり、全身倦怠感が持続し日常生活に影響が出ている、といったことはありますでしょうか?これらの症状がある場合、EBウイルス感染症の可能性が強まります。積極的に検査を行うべきであると考えます。 もし症状がここに記載されたほどではない場合、とくに名前がつかないウイルス性の扁桃炎(すなわち風邪のことです)と判断し、医師が様子を見ようとすることもあり得るでしょう。 まとめとして、症状がひどくなければ様子を見るのも一つの手ではあると思います。もし、EBウイルス感染症に対する不安があるのであれば、そのまま主治医に相談するのも手段の一つでしょう。総合病院へ紹介となることもあるかもしれません。抗生剤(ラスビック)の継続については、扁桃の所見や検査結果によるところがありますので、明確なお答えをするのが難しいです。そこも含めて主治医の先生に相談してみてはいかがでしょうか? 以上回答させていただきます。この回答がお役に立てば光栄です。またわからない事があればいつでもご相談下さい。
ここまで丁寧な回答を頂けるとは思いませんでした。この度は本当にありがとうございます。
主治医はウイルス検査に消極的なようでしたが、症状はそこまでひどくないので、不安な点は適宜相談しながら治療していこうと思います。
2023年02月22日 09時23分
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