指名:高橋怜奈/産婦人科医YouTuber 先生

妊娠14週での咳喘息治療薬使用について

30代女性

14週の妊婦です。咳喘息のような症状が5日ほど前から続いており以前かかったことのあった呼吸器科へ通院しました。
妊娠中であることも伝えた上で、2つの薬をいずれも2週間分処方していただきました。
①エナジア吸入用カプセル高容量
②モンテルカスト錠10mg「KM」

①については吸入薬なので一応妊娠中でも安心して使えるかなと思い使用への抵抗感はないのですが、②については内服薬であること、また妊娠中禁忌と説明しているWebサイトもあり本当に内服していいのか不安で使用を躊躇っています。

①だけ使用してひとまず様子を見ようかとも思ったのですが、処方時の薬剤師の方からは「症状を長引かせない方がいいのでどちらもきちんと使った方がよい」と助言をいただきました。

②の薬は14週の妊婦でも使用して問題ないものでしょうか。お教えいただければ幸いです。

ご質問ありがとうございます。 妊娠中は呼吸機能自体が変化し、そこに喘息発作が加わると母体には高血圧、性器出血、分娩異常などをひきおこしたり、胎児には胎児低酸素血症、子宮内発育遅延、低体重、早産などのリスクが上昇します。 これらは妊娠中に、どの薬を使用したかよりも、妊娠中の喘息発作の強さや回数に影響されるとされています。 妊娠中でも多くの喘息治療薬は継続可能です。むしろ喘息発作を抑える事がとても大切です。妊娠されていると薬の影響を心配されるあまり、きちんと指示された薬を使用せずに喘息が悪化してしまう方がいらっしゃいます。特に妊娠中は大きくなった子宮で横隔膜が挙上し、低肺換気状態になるため、余計悪化もしやすいです。 さて、ご質問に挙げられていた2剤はどちらも添付文書内で、妊娠中どの時期であっても『有益性投与』といって、薬を使わないことによるデメリットよりも、使うメリットの方が大きいと判断される場合には処方しましょう、という部類になっています。もちろん妊娠14週でも必要であれば使用します。 よって、指示された用量をしっかり使用して頂けたらと思います。症状が改善すれば量を減らしたり薬の種類を減らす事も可能でしょう。 妊娠中の治療は不安も大きいと思いますが、喘息症状が長引くデメリットがとても大きいので、しっかり治療をされ早く軽快されるのが一番です。 以上ご参考になれば幸いです。 何かまたご不安な事がありましたらいつでもご相談ください。 元気なお子様がお生まれになることを心よりお祈りしております。

お忙しい中、迅速にまたご丁寧にご回答くださり有難うございました。薬よりも喘息症状自体が妊娠にとってリスクであり、症状をできるだけ早く軽快させることが重要であることよく理解できました。
早く症状が収まってくれることを祈って処方通りに薬を使用しようと思います。有難うございます。

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2022年12月17日 19時25分


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YouTuber、産婦人科専門医、指導医、がん治療認定医、性教育認定講師です。生理、更年期、癌、セックス、婦人科形成手術、なんでもご相談ください。
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