指名:Dr.ニコ(小児歯科) 先生

子どもの虫歯を予防したい

10歳未満男性

いつも参考になるご回答ありがとうございます。

0歳の子どもについてです。まだ歯は生えてません。

子どもの父親(私の夫)は治療してもすぐ虫歯が出来てしまいます。子どもの頃から虫歯になりやすかったそうです。

夫いわく歯並びがわるく歯が重なり合ってることや、口呼吸でよく口が開いてることが虫歯が多い一因と以前指摘されたそうです。

見ていてとても大変そうなので子どもは虫歯にならないよう小さいうちから予防してあげたいと思ってます。

1.口呼吸せず歯並びも良い子にするには何に気を付けたら良いでしょうか?

2.今は授乳中(母乳)ですが保育園に預ける時期を踏まえて1歳2ヶ月頃で断乳予定です。授乳期間が長びくと虫歯リスクが高まるそうですが、このくらいの時期までに断乳出来てたらリスクはそこまで大きくないですか?

3.現在グズる時のみおしゃぶりを使用してます。月齢を重ねての使用は口腔機能の発達に悪影響と見掛けましたが、歯が生え始めてから使用時間を減らせば悪影響を受けずに済みますか?

沢山お尋ねしてすみません。よろしくお願いいたします。

回答済み

歯科

ご質問ありがとうございます。0歳のお子さんの今後の歯並び、授乳とむし歯のリスク、おしゃぶりについてのご相談ですね。

保護者の方が歯のことで苦労された経験から、お子さんにはその苦労をさせたくないというお気持ち、理解できます。


1.口呼吸の防止や歯並びを良くするためにどうしたら良いのか?

口呼吸の要因については、鼻が詰まりやすい、呼吸の通り道が狭いなどの耳鼻咽頭科系の疾患、お口周りの筋肉が弱くお口がぽかんとあいてしまう癖がなどが歯並びも含めて相互に絡んでいることが多いです。また歯並びが悪くなる原因に関して、小児歯科学会の回答1)としては

①乳歯のむし歯によって生えかわりよりも早く乳歯がなくなることによる永久歯のスペース不足

②歯と顎の大きさのバランスが悪い

③遺伝的な要因

④お口の癖(口呼吸、長期のおしゃぶりやゆびしゃぶり、舌の癖等)や生活習慣(頬杖やうつ伏せ寝)

があげられています。


ではこれらの事前に防ぐにはどうしたら良いのかというと、①に関してはむし歯予防によって健康な乳歯を維持して正常な生え変わりを促すこととなります。②の歯の大きさや③の遺伝的な要因を防ぐのは難しいところです。②の顎の大きさも③が関わっていたりその子自身の形態的な部分に加え、④のお口周りの環境的な要因でも変化していきます。


④へのアプローチですが、0歳、低年齢の時点ではなかなか難しいところがあると思いますが、今後を見据えてお話ししていきます。

口呼吸に関しては耳鼻咽喉科の疾患があるようであればその対応、お口がポカンとあいてしまう癖がある場合は、保護者と会話によるコミュニケーションが取れる3.4歳ごろからお口を閉じることへの声かけやお口周りのトレーニングを少しずつはじめていけると良いと考えます。


お口の癖に関しては1歳以上の継続したおしゃぶりの使用を控えたり、お口の中の状況にもよりますが,4歳以上の長期的な指しゃぶりへの対応、お子さんのお口の状態に合った離乳食の進め方2)、食べ方や飲み込み方なども含めた舌の癖など、なかなか保護者の方だけでの判断や対応は難しいところもあるかと思います。


むし歯予防に関してや、歯並びのチェック、食べ方や飲み込み方、お口周りのトレーニングに関してはお口の状態によってどのような内容を行えばよいのか、小児歯科がある歯科医院をお子さんのかかりつけの歯医者さんとして今のうちから見つけることもできることの一つです。適切な時期に保護者の方と一緒に介入していけると良いでしょう。


歯並びは生活習慣以外にもいろんな要素が関わってきますので、上記のことがうまくいかなくても責めすぎず、ストレスにならない範囲でやっていけると良いのではないでしょうか。



2.授乳の期間とむし歯リスクについて

質問者さんのおっしゃる通り、1歳を超えて母乳で授乳してる場合はむし歯のリスクが高くなる、という報告もあります3.4)しかし長期の母乳によるむし歯の発生の仕組みは現時点では明らかにはなっていません。母乳そのものではなく他の要素と相まってむし歯になるのではないか、と示唆している報告もあります3)。これは1歳を超えると母乳以外の食べ物の摂取が増え、それに加え食間や夜間での授乳によって、食べかすなどが母乳と混ざり、特に上の前歯に糖分が長く留まってしまうことでむし歯のリスクがあがるとされています。

歯の生えるペースは様々ですが、特に上の前歯が生えている状態で授乳を継続する場合は、むし歯のリスクが高くなるから無理矢理母乳をやめる!というのではなく、離乳食や母乳以外の水分での甘い食べ物飲み物(いわゆるお菓子やジュース類)の摂取に気をつけ、フッ化物配合歯磨き剤を用いた歯磨きなど基本的なむし歯予防を始めているとリスクは下げられるかと考えます。


3.おしゃぶりの使用期間と歯並びについて

質問者さんのおっしゃる通り、長期のおしゃぶりの使用は歯並びに影響が出るとされています(詳しくは別の方が質問された『おしゃぶりについて』への回答をご参照ください→https://twicure.com/questions/1489)


歯が生え始めてから頻度を減らしていけば歯並びへの影響を受けずにすむのか?という質問に関しては、『絶対に影響なし』と言い切れはしませんが、歯並びへの影響を少しでも減らすことはできると思います。


参考になりましたでしょうか?遠くからお子さんのお口の健康が保たれますよう応援しております!


1)小児歯科学会.こどもたちの口と歯の質問箱. https://www.jspd.or.jp/question/2years_old/

(2023.08.29アクセス)


2) https://www.pref.aichi.jp/uploaded/attachment/291998.pdf

(2023.08.29アクセス)


3)R.Tham et al. Breastfeeding and the risk of dental caries: a systematic review and meta-analysis.Acta Paediatr.2015;104(467):62-84.


4) Agatha W et al.Breastfeeding and Childhood Dental Caries: Results from a Socially Diverse Birth Cohort Study.Caries Res.2021;55(2):153-161.

3

2023年08月26日 10時31分


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