指名:Dr.ニコ(小児歯科) 先生

生後11ヶ月になる子どもの歯磨きについて

10歳未満女性

もうすぐ生後11ヶ月になる娘の歯磨きについて相談させてください。
現在上下前歯4本と、もう2本生えかけている状態です。
先生の記事を参考にさせていただいて、いまは朝食後と就寝前に歯磨き粉を少量つけて歯磨きをしようとしているのですが、嫌がってうまくできていません。
歯ブラシを咥えるのは好きなようなので、いまは私が磨くのではなく歯磨き粉をつけた歯ブラシを娘の好きなように咥えさせているだけの状態です。
磨けてはいませんがフッ素は口に行き渡るので大丈夫かな?と思う反面、フッ素の体内への摂取量ばかりが増えてフッ素のデメリットが大きく出るのでは?との不安もあります。
押さえつけて無理矢理でも親が磨くべきでしょうか?
アドバイスをお願い致します。

回答済み

歯科

ご質問ありがとうございます。11ヶ月のお子さん、仕上げ磨きを嫌がるのでどうしたらよいのか?フッ素を飲み込むばかりで予防効果が得られるのか、副作用が不安とのことですね。

記事も読んでいただきありがとうございます!お子さんの歯の健康のために正しい知識で歯磨きをしようという姿勢、質問者さんが早くからお子さんに歯ブラシに触れさせてあげたことから、歯ブラシの感触への慣れはできているかと思われます!


・嫌がる仕上げ磨きへの対応

0歳のお子さんですと、じっとしているのが難しく歯磨きも一苦労ですよね。実際きちんと寝かせた状態で仕上げ磨きができるようになるのは2歳6ヶ月くらいからとされています1)。

そしてむし歯予防に関しては、今のお子さんの年齢からも歯磨きをしっかり行うことよりも食習慣が重要になってきますので、この時期の歯磨きは汚れをしっかり取り除く、というよりも歯磨きへの慣れや習慣化が主な目的と考えていただけたらと思います。

いくつかの項目に分けて説明致しますので、もう実践している項目があればスルーしてくださいね。


⭐︎歯磨きの姿勢

基本的にはお子さんを床か保護者の方の膝の上に寝かせた状態で行います。ここで動いてしまうからと抑えてしまうと、『歯磨き=抑えてやられる』というネガティブな印象を与えてしまいます。抑えて磨かれた子も年齢が上がるとできるようになるとされていますが1)、それまで子供の力もどんどんついてきますし、双方歯磨きに対してマイナスのイメージがついてしまうのであれば避けたいところです。

もしワンオペの場合、時間はかかってしまうかもしれませんが、ほんの数秒ずつでも良いので歯ブラシをできる限り歯にあてていきます。もし手が出るようであれば小さいぬいぐるみやおもちゃを持たせる(危なくない範囲であれば手鏡で見てもらうのも良いかもしれません)、もう一人保護者がいる状況であれば、手を繋いであげたり(抑えはせず)、音の鳴るおもちゃやお歌、抵抗がなければ動画などで気をそらせるのも一つです。

そして数秒でも磨けたらオーバーに褒めてあげてください!歯磨きにポジティブなイメージを与えてあげれるとお子さんも歯磨きへの印象がいいものになってきます。



⭐︎歯ブラシの当て方

この時期であれば、必ずしも1回で全ての歯に歯ブラシを当てよう、100%磨き切ろうとしなくても大丈夫です。今回は上の前歯の表側を磨く、と目標を立てて、できそうであれば他の場所も、難しければ次の歯ブラシの時は別の場所から磨く、とやってみてください。

どうしても心配であればまず全ての歯に歯磨き剤をサーっと塗って、その後歯を磨いていく、という方法であれば、フッ化物の効果も得られやすいと思います。


また、上の前歯は嫌がるお子さんが多いです。上唇小帯というヒダが当たると特に嫌がります。小児歯科学会のQ&A『1歳半の子どもです。歯みがきをいやがります。いい方法はありますか?』の回答に上の前歯を磨く時の唇のどけ方の記載があるので参考にしてくださいね1)


実際に歯磨きをしているところを見ていないので、もしかしたら歯ブラシの力加減など、磨き方に関してもっとアドバイスができることがあるかもしれません。なので今のうちからお子さんのかかりつけの歯医者さんを見つけて、磨き方のコツを教えてもらうのも一つです。



・フッ化物配合歯磨剤について

歯磨き剤を飲み込んでばかりで心配になりますよね。保護者の方が磨かれてる場合でも舐め取ってしまうばかりで同様の心配をされる方も多いです。

私の記事を読んでいただいてるので、恐らく適正な量の歯磨き剤を使用していただけてると思います。

お子さんの体重が9kgの場合、1日当たりのフッ素量の上限は0.9mgになります。2)3歳以下のお子さんが使う一回分の適正な量=1000ppmFの濃度の歯磨き剤を0.1ml(米粒大)、のなかに含まれるフッ素の量は0.1mgなので、食事などで体に取り込まれるフッ素の量を加えても3)上限量には達することはなく、安全に使用できる量に設定されています。なので安心して適切な量を使用していただければと思います。心配なようであれば提言にもあるように、最後にガーゼなどで余分な唾などを拭き取っても良いでしょう。

今はお子さんの自分磨きの際につけているとのことですので、できたら自分磨きの際はフッ化物配合の歯磨き剤をつけずに仕上げ磨きの際に使用するようにしてください。


参考になりましたでしょうか?遠くからお子さんのお口の健康を応援しております!


1)小笠原 正他.寝かせ磨きに対する幼児の適応性.小児歯誌.28(4):899-906.1990

https://t.co/x82nvQZq5t

2)日本小児歯科学会.こどもたちの口と歯の質問箱. https://www.jspd.or.jp/question/2years_old/

(2023.09.04アクセス)


3)Scottish Intercollegiate Guidelines Network. Dental interventions to prevent caries in children.

https://www.scottishdental.org/wp-content/uploads/2014/04/SIGN138.pdf

(2023.09.04アクセス)


4) https://www.jda.or.jp/park/prevent/index05_04.html

(2023.09.04アクセス)

5

2023年09月02日 17時19分
編集済み


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