多分黄色ブドウ球菌感染

20代女性

7年ほど前から年に1回必ずと言っていいほど、顔の発赤や熱感から始まり、その後顔全体から漿液が滲出し顔も腫れるという症状に悩まされています。かかりつけの皮膚科に受診しても抗生剤で治療→また1年後には同じことが起きるとなっています。漿液が凝固すると口や眼が開かなくなり、食事をするにも漿液をシャワーのお湯で溶かしてからまた新たな漿液が固まる前に食べねばならない状況になります。母曰くゾンビのような顔になって可哀想だとか、外食先の店員が顔をじっと見てたのが失礼だとか自分のみならず周囲にも悪い影響を与えるのが厄介です。また、顔の火照りや瘙痒感が強く入眠もしにくくなります。
看護師になる予定なのでこのままではまずいと感じ相談しました。
なにか予防策やなってしまった場合の対策を教えて頂きたいです。

ご質問いただきありがとうございます。アトピー性皮膚炎の治療中であり、年に1度程度、顔の発赤、浸出液のようなものが出て顔が腫れるというエピソードを繰り返しており、その予防策を知りたいということですね。

実際に皮膚症状を診て診察しているわけではないため、正確ではないかもしれませんが、可能な範囲でお答えさせていただきます。

症状が出た際の皮膚科での治療法が抗菌薬であり、抗菌薬で効果があるようですので、アトピー性皮膚炎の肌荒れから何らかの細菌感染を生じているものと考えます。また、もう一つの可能性として、アトピー性皮膚炎の方に良く生じやすい症状の一つにカポジ水痘様発疹症という疾患があります。こちらはアトピー性皮膚炎等の病変部位、特に顔面、体幹に小水疱が多発する疾患で、ヒト単純ヘルペスウイルス(HSV)の感染が原因です。皮膚の表面に多数の傷がある時にそこからウイルスが侵入して症状がおこります。この場合でも、ご質問者さまと同様の症状が生じる可能性があります。こちらの場合の治療は抗ウイルス薬を用いますが、細菌感染を合併することもあり、抗菌薬が使われることもあります。

さて、予防法の話ですが、上記のどちらでありましても、このような症状は元々の皮膚状態の悪化から生じていることが多いです。そのため、予防するにはアトピー性皮膚炎全体の皮膚症状のコントロールをすることが1番かと思います。アトピー性皮膚炎はその人それぞれ、年間を通して、悪化したり改善したりと変化があると思いますが、悪化時には適切に早めに皮膚科医の診察を受け、皮膚状態を改善させることが必要です。また、顔の発赤などの初期兆候が出た際に早めに受診をすることで、早めに対処し、その後の腫れや浸出液などの症状に至ることを防ぐことができるかもしれませんので、早めの受診がポイントとなります。

私からの回答は以上となります。ご参考になりましたら幸いです。

1

2023年09月13日 07時37分


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皮膚科専門医、1児の母でもあります。

わかりやすく丁寧な回答を心がけます。お力になれば幸いです。

拝読いたしました。かなりお辛い状況ですね。

アトピー性皮膚炎でフェキソフェナジン、ロコイド軟膏をお使いになっておられるとのことですが、顔面のアトピー性皮膚炎の状態は如何でしょうか。

アトピー性皮膚炎はご存知のように皮膚表面の抗微生物ペプチド(antimicrobial peptide)が減少している病態で、加えて治療のため長期のステロイド塗布が必要な場合には感染症(黄色ブドウ球菌に加えてウイルスや真菌感染症)のリスクが上昇します。そして感染症をきっかけとしてアトピー性皮膚炎そのものも悪化するという悪循環があります。ですので、依然として局所ステロイド塗布はアトピー性皮膚炎の重要な治療手段ではあるものの、なるべく必要な期間だけに絞り(切れ味よくアトピー性皮膚炎を改善させることは間違いないですが、長期使用は様々な問題を引き起こすので)、改善させた後はステロイド以外の方法で「皮膚の良い状態」を保つという基本コンセプトの治療方針が主流となりつつあります。

以前よりアトピー性皮膚炎の「ステロイド以外の治療法」が増えてきたことも上記方針の後押しになっています。


相談者様のお考えの通り、黄色ブドウ球菌感染症が一つの可能性と思われます。加えて単純ヘルペスウイルスなどのウイルス感染によっても漿液性の滲出を伴う皮膚病変が生じることがあります。

https://en.wikipedia.org/wiki/Eczema_herpeticum

ロコイド軟膏は顔面にも使用できるステロイド軟膏ですが、もし顔面への塗布が長期間にわたっているようでしたら、あるいはそもそもアトピー性皮膚炎のコントロール状態が芳しくないようでしたら、担当の皮膚科医の先生にご相談ください。

アトピー性皮膚炎と関係なくご質問のような状態が生じている可能性としては、伝染性膿痂疹(いわゆる「とびひ」)もあります。大人にも生じます。

https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/site_hifuken/symptom/tobihi/

いずれにしても予防法は(基本的なことになりますが)保湿・清潔を保ち、悪化要因を避ける、という、アトピー性皮膚炎と共通した方針になります。

症状が緩和(予防)されますことを祈念しております。

2

2023年09月15日 15時40分


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リウマチ・膠原病は、近年病態生理の解明が急速に進み、診断・治療の進歩が著しい分野ですが、本邦では専門医が少ない分野でもあります。お悩みのことがございましたら、お気軽にご相談下さい。

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