飲酒中によくむせる

40代男性

いつもお世話になっています。
夫(43歳男性)のことで相談があります。ここ1〜2年で水やお酒を飲む時によくむせるようになりました。特に飲酒中にむせる回数が多いです。酔っていないとむせる頻度は少ないです。食事(固形物)はむせることなく飲み込めています。むせが気になるようになってからどんどん悪化している感じはありませんが、お酒を飲む時は一晩に2、3回はむせて咳き込んでいます。もともと一度に飲む量が多いので、がぶ飲みはやめて少しずつ飲むようにしたら、と言っても聞きません。この状態でも病院を受診した方がいいでしょうか?また、受診するとしたら何科にかかれば良いでしょうか?
むせること以外に口や喉まわりに気になる点(声が出しづらい、発音しづらい音がある、呼吸しづらいなど)はありません。

ご質問いただきありがとうございます。耳鼻咽喉科専門医の音良林太郎と申します。酔ったときにむせてしまうことが多く、気になっているということですね。結論から申し上げますと、できればまずは禁酒して観察、さらに耳鼻咽喉科への受診をお勧めいたします。また、飲酒量が多いようですので、全身への影響を考慮し、内科で検査を受けるのも必要かもしれません。


むせる、というのは誤嚥といって、息の通り道・気道に飲食物が入り込んでしまうことが原因です。主として喉を動かす筋肉、そこに通じる神経のいずれかが不調であるか、もしくは食道に問題があって食事が飲み込めない場合があります。

疾患名として挙げられるような問題である場合、筋肉に問題がある場合としては、加齢による筋力低下、筋萎縮性側索硬化症など、神経については脳梗塞、迷走神経障害、パーキンソン病、食道病変としては食道腫瘍、逆流性食道炎などを挙げます。ここで挙げた筋・神経の疾患の場合、通常は日常生活においても症状が出ていたり、他の症状(声がかれる、発音がおかしい、ものが飲み込めないため食事量が減って体重が減る)が同時に出る場合が多いです。


相談者様の場合、お酒を飲んでいる間だけ出る症状ということで、日常は症状が出ていないようですし、食事自体は飲み込めているということで、あまり重篤な疾患である可能性は低いように思われます。ただ、上記の疾患の初期症状である可能性を考えると、一度耳鼻咽喉科で飲み込みの機能検査を行っていただいても良いかもしれません


もし疾患でない場合、どのような事が考えられるでしょうか?アルコールを飲んだことによる変化の可能性はありえます。アルコールを飲むことで体に起こる変化として、神経系の働きが鈍くなる、というものがあります。ものを飲み込む動作には「嚥下反射」という反射が素早く働く必要がありますが、酔っているとこの反射も弱くなり、誤嚥のリスクが上がります。また、水やお酒といった液体は、固体やゲル状の物体に比べると誤嚥しやすい形態であることも理由の一つかもしれません。


まず行うべきは「お酒を飲まないことで誤嚥が起こりにくくなるかどうか」を確認することです。飲酒による影響ならば、お酒を控えればむせこみは減るでしょう。お酒を控えても誤嚥を繰り返す場合は、何かしらの疾患である可能性が高くなります。

また、お酒の量・頻度ともにかなり多いように見受けますので、アルコールによる全身障害(肝障害、膵臓障害)などは評価が必要かもしれませんし、日常生活に影響を及ぼしている程度であれば、アルコール依存症の有無も考えなくてはいけないかもしれません。


以上まとめますと、1.まずはお酒をやめて様子を見る、2.耳鼻科の受診は検討する、3.アルコールによる全身への影響も評価を検討する、という優先順位で考えていただきたいです。この回答がお役に立てば幸いです。また何かありましたらお気軽に質問ください。

回答ありがとうございます。どう対応すれば良いかわかり、安心しました。耳鼻咽喉科で嚥下機能の検査を受けさせてみたいと思います。

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2023年09月30日 15時24分


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耳鼻咽喉科専門医•指導医の音良林太郎@耳鼻咽喉科です。みみ、はな、のどの病気や、首の腫瘍など、気になることはなんでもご相談下さい。専門は耳科、聴覚ですが、めまい、鼻、頭頸部腫瘍、甲状腺なども扱います。
なるべく丁寧に、かつ医学的な根拠とともに解説することをモットーとしています。どうぞお気軽にご相談ください!

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