指名:Dr.ニコ(小児歯科) 先生

前歯で噛み切ることの重要性について

10歳未満男性

もうすぐ2歳になるこどもがいます。
先日「前歯で噛み切る動きが大事で、これをしないと口腔機能発達しない」という内容の情報を目にしました。

子が1歳の頃にご飯を棒状にして前歯で噛み切るようにたべてもらったりしていたことがありますが、最近はもっぱらスプーンで食べることが多く前歯で噛み切ることが少なかったのでよくなかったかなと思いました。

先生、
前歯で噛み切ることの大切さを教えていただけますでしょうか?
口腔機能発達のために大切なことは取り入れて、口腔機能発達によくないことは避けたいと思っております。

ご教授お願いいたします

回答済み

歯科

ご質問ありがとうございます。もうすぐ2歳のお子さん、スプーンでの食事が増えたことでかじりとりをする機会が減っているとのこと、前歯でかじりとりをすることの大切さについてのご質問ですね。


乳幼児のお子さんへのお食事は大変なこともあるかと思いますが、お口の発達のことにも関心を持って取り組もうとする姿勢は素晴らしいと思います!


食べ物を口の中に取り込むことは、食事を摂取して飲み込むまでの流れの中の認知期、準備期というところに相当します。これは食べ物を見る、匂いを嗅ぐ、時には手で掴むなど食べ物を認知して、どのくらい食べるか判断してから一口量を決めてお口の中に取り込みます。1)この一口量を決めるのは過去の食べることの経験も重要であるとされ2)、この経験が積み重なると自分に合った一口量が安定してきます。


前歯でのかじりとりはこの一連の動作の一つのステップとなります。前歯でかじり取ることでお口の中に入れる量が決まります。この経験が少ないと、どのくらいお口に入れて良いかの判断ができず、お口の中がいっぱいになってしまい飲み込めずに出してしまったり、無理に飲み込もうとしてしまいます。


また前歯でかじり取ることで、食べ物の硬さや性状を認識して、どのくらいの力で噛めば良いのか調節することの経験としても大切です3)


この経験を生かして、スプーンなどを使った食具食べへと移行していきます。この食具食べも大切なステップといえます。手づかみ食べで手とお口が連動し、前歯でかじり取ることで一口量の経験を積んだことで、次は食具をうまくつかって、適切な一口量を口に運び咀嚼します。


以上のことから質問者さんがお子さんに対して取り組んできている食べ方へのステップは決して間違っているわけではないので安心していただけたらと思います。


参考になりましたでしょうか?遠くからお子さんのお口の健康が保たれますよう応援しております!


1)Leopold NA, Kagel MC. Swallowing ingestion  and dysphagia:Arepearaisal. Arch Phys Med  Rehabil.1983;64:371-373. 2)山田好秋.よくわかる摂食・嚥下のしくみ.東京,  医歯薬出版,1999,33-72.

3) 新しい離乳食ガイドラインと食育について 口腔機能の視点

田村文誉. 小児保健研究. 78 .6.2019

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2023年10月13日 17時19分


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