指名:Dr.ニコ(小児歯科) 先生

嘔吐時の口腔ケアについて

10歳未満男性

昨夜1歳11ヶ月の息子が夜中に胃の中のものを嘔吐しました。

嘔吐から1時間後にスプーン2さじほどの水を飲みましたが、ねかしつけ時に「口の中が気持ち悪くないかな?」と気になり水で湿らせたガーゼで歯や舌を拭いました。
(息子からも何度か口の中を拭ってほしいとジェスチャーで意思表示があり何度か実行しました)

嘔吐物のpHは胃酸が混ざって強酸性〜酸性だと思い、酸蝕症対策になるかはわかりませんが上記のような対応をしてみました。

今回は思いつかなかったのですが、
嘔吐から1時間ほど経って落ち着いていたら少量の水分補給をし、再度就寝する前に少量のフッ化物を使った歯磨きをするのは酸蝕症対策など口腔ケアになるのでしょうか?

(毎日昼寝前と就寝前にフッ化物を使った歯磨きをしていますので、嘔吐が起こった時間によってはフッ化物の過剰摂取になりますでしょうか)

質問:
幼児が嘔吐した時の適切な口腔ケアを教えてください。

回答済み

歯科

ご質問ありがとうございます!お返事遅くなって申し訳ありません。

1歳11ヶ月のお子さん、嘔吐した際の適切な口腔ケアについてのご相談ですね。

夜中に嘔吐してしまったとのこと、大変でしたね。その後お子さんや保護者の方の体調は問題ないでしょうか?


嘔吐時の口腔ケアについては無理のない範囲で、お子さんも示ししていた通り、口の中の不快感などを取る目的で、お身体の様子を見ながらお水を飲んでみたり、お口の中を拭う、うがいができればうがいをしてもらえると良いかと思います。


酸蝕症はむし歯とは少し違うメカニズムで、質問者さんのおっしゃる通りお口の中が酸性のものに頻回に晒されることによって歯が溶けてしまうことを指します。

お口の中が酸性にさらされたあと、唾液の効果によって酸性になったお口の中を中性に戻そうという力が働きます。


しかし長期的に頻回に酸性にさらされると、エナメル質が溶けてしまうお口の環境が頻回に起こってしまうことで、歯が溶けてしまう酸蝕症という状態になってしまいます。



今回の嘔吐で考えると、お子さんの、いわゆるお腹の風邪などの一時的に繰り返す頻回な嘔吐ではなく、摂食障害や逆流性食道炎など長期にわたり頻回な嘔吐が習慣化してしまう場合に起こってしまいます。1)


これを予防する目的として、フッ化物配合歯磨き剤による歯磨きが適切か、と考えるとフッ化物による予防、というよりも歯磨きによる唾液の分泌によってお口の中を中性に近づけるという方が適切ではないかと考えます。

ご心配されているフッ化物の過剰摂取に関して、通常の歯磨きプラス1回程度は適切な量を使用しておられるようであれば問題ないと考えます。


お子さんの場合、特に嘔吐などが見られる体調不良時は歯磨きなどのお口への刺激がかえって嘔吐を誘発する可能性もありますので、お子さんの体調を見つつ、できそうであればで構いませんので上記のような対応をしていただけると良いのではないでしょうか。


参考になりましたでしょうか?遠くからお子さんのお口の健康が保たれますよう応援しております!


1)北迫 勇一; 酸蝕症の病態と臨床対応.日本補綴会誌.7(2).142-147.2015

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2023年10月16日 06時47分


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